第1章 2人との出会い
今日から、”宮城県立 烏野高等学校”での新しい生活が始まる。
仲良かった中学の友達のほとんどは別の高校に進んでいった。
新しいクラスは1年4組
友達はちゃんと作れるだろうか?
窓際の席に座り授業を受ける。
部活は今のところ特に何に入るか決まっていない。
自分はこれからここでどんな高校生活を送るのだろうか?
放課後、帰る途中にどこからか賑やかな話し声が。
「こっちから?」
近づくにつれてボールの音も聞こえてくる。
そのまま音の鳴るほうへ歩いて行くと、言い合いながらバレーをする人達を見つける。
今までバレーは体育の授業でしか見たことなかったが、この2人のバレーには興味を持った。
なんでこの場所で?とか、なんで言い合ってるのか?とか不思議に思うところもたくさんあったからだろうか・・・。
いつもの自分では絶対やらないであろう行動を取ったのは、興味のほうが勝ったからなのかもしれない。
「ねぇ、見ててもいい?」
賑やかなやり取りがなんだか面白くて好奇心から声をかけた。
突然現れた女の子に2人はびっくりしている。
ボールに夢中で近くまで来たのに気づかなかったのだろう。
オレンジの髪の男の子が人懐っこそうな笑顔で「いいよ!」と言ってくれたので、少し離れたところから二人を眺める。
黒髪の男の子がボールに触ると綺麗な弧を描き飛んでいった。
そして必ずオレンジの髪の男の子の前に。1度だけではなく何度も。
ずっと一定の場所にボールがいくので、それが凄いと感想を伝えた。
言った後に「こんな素人丸出しの感想言われてもうるさいよって感じか」とドキドキしたけど
「うす」
と返事が返ってきただけだった。怒られなくて良かった。
そのあとも、ちょこちょこ声をかける。