第68章 クリスマス
「日向!山口!潔子さんと一ノ瀬の状況は?」
「「まっすぐ体育館に向かってます!」」
「影山!月島!そっちの準備は?」
「配り終わりました」
「・・・これ必要ですか?」
「まぁまぁ、一年に一回だし。お前も二人に感謝は必要だって思うだろ?」
「・・・」
そう言って笑顔の澤村が月島の肩をつかむ。
その手にはほんのり力がこもっていた。無言の圧。
「ノヤっさん!そっちは?」
「こっちはばっちりだ!」
潔子先輩とおしゃべりしながら体育館へ向かう途中
「おーい!」
スガ先輩に声をかけられた。
「二人ともちょっとこっち来てくれる?」
「「?」」
二人で不思議に思いながら部室へ向かう
さっきまでドアの前にいたスガ先輩は先に中へ入ったみたいだ。
なんだか不自然なくらい静かでドア開けるのをためらってしまう。
「あれ?みんな中にいるんですよね・・?すごく静かです」
「開けてみよう」
ドアを開けると上半身裸の旭先輩がこっちを向いて立っている。
「「・・・」」
しばしの沈黙
「着替え途中に開けてすみませんでした!!」
急いでドアを閉めた。
「東峰、ダメなら先に言って」
「えっ?あ、おい!!違うんだ・・」
ほら、だからこれよくないって言っただろ?という泣きそうな声と、スガ先輩の笑い声が聞こえる。
「ごめん、ごめん。次は大丈夫だから」
大地先輩の声が聞こえた。
潔子先輩とゆっくりドアを開ける・・・
「「「メリークリスマス!!!」」」
みんなの声と同時にパン!とクラッカーが鳴った。
二人呆然として部屋を見渡す。
サンタ帽子を被ったみんなと、白髭を付けた田中先輩と西谷先輩がいた
部員からマネージャーの二人に感謝のプレゼント
「「GW合宿の反省を生かして、リベンジさせてもらいました!
これからの寒い時期に大活躍オリジナルトレーナー!」」
「途中の案まで俺たちもちゃんと参加してるし、今回は期待していいぞ!」
大地先輩が安心していいぞ、という顔で言う
頭をよぎるのはGW合宿の前日の出来事・・・
潔子先輩はフルネームで私はハチ公だった
おそるおそる包みを開くと出てきたのは白いトレーナー
確認するまでは怖いけど、今のところなんだか大丈夫そうな気がする!
一気に広げた。
「「・・・・・」」
私の目の前に金色の「O」という文字が
ゼロ?オー?
横にいる潔子先輩の手元には「H2O」の文字
