第6章 GW合宿 迷いネコ
合宿3日目
今日は朝からロードワーク。とにかくみんな走り込む。
私はゴールで待ってドリンクとタオルをスタンバイ
「・・・・疲れた。しんどい」
「一ノ瀬ちゃん、飲み物お願い・・・」
みんなが次々と駆け上がってくる。
最後は日向くんと影山くん
影山くんとの勝負に夢中になり過ぎた日向くんはゴールしたにも関わらずそのまま突き進んでいく。
「日向くん!ここでゴールだよ!・・私追いかけてきます!」
荷物を山口くんに預け、急いで後を追う。
しかし足の速い日向くんに追いつけるはずはなく、すぐに見失った。
「(体力ないなぁ・・私も運動しないと)」
しばらく歩いた先でやっと見慣れたオレンジの頭を見つけた。
「日向くん・・ここにいたの」
こちらに気づくと大きく手を振る。
「探してくれたの?ごめん・・。すぐ戻ろうと思ったんだけどここに研磨がいたんだ」
迷子なんだって、と座っている男の子を指さした。
研磨と呼ばれた少年はスマホの画面からこちらに視線を移すとぺこりと頭を下げ、またスマホに目線を戻す
画面に映っているのは最近クラスの友達に教えてもらってからハマったゲーム。
「あ!これ面白いよね!」
「一ノ瀬知ってるの?」
「最近友達に教えてもらってからやってるんだけど難しくてなかなかクリアできないの」
「どれ?」
「え?」
男の子が見上げる
「・・・どれがクリアできないの?」
「えっと、これ!ここから急に難しくなって」
すると「こうやるんだよ」と教えてくれた。
「コツはこことここ。最初は難しいけど何度もやれば慣れてクリアできるから」
やってみて、とスマホを渡され教えられたとおりにやってみる。
「一ノ瀬すげぇ!上手いじゃん。それにあと少しでクリアだったよ!」
「ここまで出来たの初めて!教えてくれてありがとう!えっと・・・?」
名前を聞いてないことを思い出す。
「孤瓜・・・研磨・・・」
「弧爪くんあり「研磨でいい」
「研磨くん、ありがとう!私、一ノ瀬みなです」
にっこり笑いかけると研磨くんは大きく眼を見開いた。そわそわと色々な場所に視線を動かしている。
「面白そうだし、おれもやってみようかな?」
「日向くんもやろうよ!」
研磨くんからスマホを借りて今度は日向くんが挑戦する
「翔陽・・・下手だね」