第63章 雷雨
「・・・白鳥沢の合宿大変?」
「うん・・・分かってたけど練習には混ぜてもらえない」
「そっか」
「でも明日も行く!こっち来たからにはおれに出来る事全部やる!」
自分にそう言い聞かせるように宣言した。
情けないところばかり見せてられない。
「日向くんはすごいな。私も負けてられないね。・・・あっ!!!」
そう言って一ノ瀬の声が少し遠くなった。
どうしたんだろう?
「なにかあった?大丈夫??」
ほら、こっち来て声聞かせてあげて?って一ノ瀬が言ったあとに
「ニヤァ~」
可愛い声が聞こえてきた。
「え?猫?・・・政宗??」
「政宗が、”日向くん頑張れ!”って言ってる」
続けて「ミャ」と短い声が聞こえた。本当に会話してる気がして思わず笑う。
「スゲェー!いま返事したよね!?」
フフフって一ノ瀬の笑い声が聞こえてくる。
フワって体があったかくなるようなその声になんだか元気をもらえた気がした。
「一ノ瀬!突然だったのにありがとう。頑張れそう!」
「よかった」
「また明日も行ってくる!」
「うん!気を付けてね!」
日向くんとの電話が終わってすぐ、またスマホが鳴る
~♪
「あれ?影山くんだ」
開いてみると写真付きのメッセージが送られてきた。
”ユース合宿の飯、ものすごく豪華だぞ!”
ビュッフェ形式で、様々なご飯が並んでいる。
自分で盛り付けたのかな?バランス良いし、本当に美味しそう。
あっ!影山くんがいるのは日本代表選手とかも練習している場所!ということはご飯だってアスリート向けのやつ。
「(全部は真似できないけど、来年の合宿とかのメニューの参考になるかも!?)」
そう考えたらデータ残しておいたほうがいいよね?
プロのご飯なんてなかなか見る機会ない。
”参考にしたいから時間ある時またご飯の写真送って!”
分かった、と短い返事が来た。
「(東京合宿の様子はどんな感じなんだろう?
帰ってきて話聞けるの楽しみだな・・・・なんか私もお腹空いてきたし急いで家に帰ろう!)」
足元にいる政宗に視線を送れば何かを感じ取ったのか速足で家のほうに向かって進んでいく。
「待って!待って!私も帰るから!」
必死に後を追いかけた。