
第57章 東京前線① 【寄り道】

「みな!ちゃんと飯食えよ?それでしっかり睡眠も取るんだぞ!」
西谷先輩の元気な声が聞こえてくる。
「しっかり食べて明日に備えて早く寝ます。あ!ちゃんとお土産買って帰りますからね」
日向くんと西谷先輩の喜ぶ声が聞こえてきた。
「ちゃんと座って応援するんだぞ?あと知らないやつに声かけられても付いて行くなよ!」
東京は怖いところだからな・・・と大地先輩の心配そうな声
「気を引き締めます!」
烏野のみんなと電話を終える
「(残るイスは1つだけ。音駒も春高行くには明日の試合絶対勝たなきゃダメなんだ)」
スマホを握る手に自然と力が入った
「あれ?一ノ瀬さん・・・?」
名前を呼ばれて顔を上げる
「赤葦さん!?お疲れ様です!」
「驚いた。似た子がいるな?って思ったらまさか本人だったなんて。いつ来てたの?」
「今日の朝です。みんなの代表で東京の試合見学に来ました」
荷物を抱えながら赤葦さんが小走りで近寄ってくる
「そうだったんだ。長距離移動お疲れ様」
「今日の木兎さんのスパイク凄かったですね!
明日の試合もまだあるけど・・・先に言わせてください。春高出場、おめでとうございます!」
「ありがとうございます。俺が言うのも変だけど、今日の木兎さんはすごかった・・・。あの人は本当にすごい人だよ」
試合を思い出したのか少し口元を緩める。
「烏野も春高出場おめでとう。ウシワカ倒してきたんだね」
「知ってるんですね」
「月島から聞いたんだ」
「(月島くんが赤葦さんに連絡したの?なんか不思議)」
思ったことが顔に出てたのか赤葦さんが笑う。
「木兎さんがね、”ツッキーに結果どうだったか聞いて!”って言うから。いつも代わりに連絡する係なんだよ」
「なるほど」
木兎さんと一緒の学校生活、賑やかで楽しそうな気がする。
「・・・黒尾さんたちには会わないの?」
無言で首を振る。
音駒のみんなは明日の試合に向けて集中してると思う。
だから私は全力で見守ることにするって決めた。
「そっか。明日も観に来る?」
「はいっ!応援してます」
「ありがとう。頑張ります」
そろそろ行くね、って手を振って駆けていった。
梟谷の明日の相手は春高の優勝候補らしい。強敵だ。
「お待たせ!座席の間に落ちてたよ。危なかった~」
「悪かったな。お待たせ」
入れ替わりで二人が戻ってくる。
荷物を持ってホテルに移動した
