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約束の景色

第56章 調理実習


※おまけ 別ver

やってきたのは体育館入口
「はぁ・・・見つからなくてよかった」
あとで潔子先輩と一緒に食べよう。どうせなら成功させたかった
「おっ?どうした?」
「もうバレーやりにきたのか?気合入ってんな!」
田中先輩と西谷先輩が通りかかる。二人は部室に忘れ物を取りに行く途中らしい
「お疲れ様です!えっと、お昼の散歩に?」
「一ノ瀬も体動かさないとダメなタイプか?俺も教室でジッとしてると眠くなってダメなんだよな」
ガハハって元気に田中先輩が笑う
「なんかあったか?いつもより元気ないぞ」
西谷先輩が不思議そうに見た

誤魔化してもすぐバレそうだし、二人ならきっと笑わないで聞いてくれる・・・と思う。
「あの!!」
「「ん?」」
「さっき家庭科の授業があって・・・お菓子作りだったんですが」
「何!?」
「女子の!お菓子作り!!」
二人がキラキラした瞳でこちらを見る
期待しないでほしい・・・ガッカリさせちゃう。
「でも私だけ失敗しちゃって」
悲しい顔で伝えるが、二人は笑顔のまま
「も、もしよかったら・・・」
可愛くラッピングされた包みを渡した。
震える手で受け取った袋からクッキーを取り出す二人
「(何も言ってくれない)」
一ノ瀬がおそるおそる二人の顔を見ると・・・

「(な、泣いてるっ!?)」
何重ものフィルターがかかった田中たちの目には、渡されたクッキーは高級店にも負けない輝きを放って見えた。
「あの、嫌だったら捨ててもらって・・」
「どこが失敗なんだ!バカにするやつがいたら俺がぶん殴る!」
「これ以上のものなんてないぞ!」
泣きながら「美味いよ」と口に運ぶ。あっという間にクッキーは消えた


放課後、部室にて
「あれ?なんか甘いニオイしない?」
日向がそう言って月島と山口の周りをクンクン嗅ぎまわる
「犬並みの嗅覚」
「クラスの子からお菓子もらったんだけど、それかな?」
山口がバックから可愛らしい包みを取り出す。
「田中と西谷が静かなの珍しいな?いつもだったら”何!?”って食いつきそうなのに」
笑いながら菅原が二人のほうを見ると・・・
「な、なんだ!?お前らその菩薩顔やめろよ!」
「今日の昼休み明けからずっとこうなんですよ。理由聞いても意味わかんないことしか言わなくて」
「「俺たちは今日の昼、天使と会ったんです」」
穏やかな顔で二人がそう言った
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