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約束の景色

第54章 決勝戦 vs白鳥沢④【東京への切符】


最後の5セット目は15点取ったほうの勝ちだ。
影山くんに代わってスガ先輩がコートに入る。
「(頼みます!)」
緊張が凄いと思う。でも・・・先輩なら大丈夫!
最終セットでも全員参加のシンクロ攻撃!
西谷先輩からのセットアップ、ボールを託されたスガ先輩が見事に決めた。これも夏から練習していた新しい攻撃。
「スガ先輩!ナイスキー!」


「・・・蛍の様子おかしくない?」
牛島さんのスパイクを防ぎ続けていた月島くんが指を負傷した。
明光さんと急いで下に向かう。
「みなちゃん、月島を救護室にお願いね」
「はい!」
潔子先輩とここでバトンタッチ。


”こんなところでコートを去りたくない”
月島が悔しさに耐えるように唇を噛む。
「”俺の仲間はほっといても勝つ!”そんくらい信じとけばいいんだ」
そんな月島の背中に明光が声を掛けた。
「一ノ瀬ちゃん、蛍を頼む・・・」
弟の苦しそうな表情を見て明光も顔を歪めた。


処置してもらっている間、月島くんはものすごい集中力だった。
きっと戻ったら自分が何をするか考えてるんだ。
「脱臼してるみたいだね」
「この試合中もつなら多少の痛みは構わないです。ガチガチに固定してください。戻ったらすぐ試合に出ます!」


救護室で処置してもらい、急いでコートに向かう。
「(大丈夫かな・・・)」
視界に入るがっつり固定された手に気を取られていたら、立ち止まったのに気づかずぶつかってしまった。
「ご、ごめん」
「僕にもちょっと見えたかもしれない。”バレーにハマる瞬間”ってやつ・・・」
!!・・もしかしてさっきのどシャットかな?
「見てたよ。その瞬間の月島くん」
コクリとうなずいて答えると、驚いてこっちを見た。


数秒止まった後、先に歩き出した月島が背中を向けたまま一ノ瀬に話しかけた

「居る場所は違くても一ノ瀬が一緒に戦ってるの、僕たちも分かってるから。背中は西谷さんと君に任せる」
「月島くん・・・」
「・・・頼りにしてるんだから、たのむよ?」
今日の武田先生の言葉でみんな気合入った。
多分・・・西谷さんが一番響いてる。日向たちなんか気合入りすぎてるくらいだし。それは僕もだけど・・・
あの言葉が刺さらなかった人はいない
「前半のほうは全然声出てなかったけど。もう後がないんだからここからはサボらないでよ?」
「ハ、ハイッ!」
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