第53章 決勝戦 vs白鳥沢③【幾望】
第3セット、どちらも譲らず点の取り合い
お互いの攻撃力の高さが目立つ試合展開
2セット目を烏野が獲り返して始まったから、少しこっちのペースかも!なんて期待したけど・・・
王者はこんなことじゃ乱れない。
「何だよ!今エンジンかかって来たとか言わないでよ!?」
「ていうか戻ったって感じだな」
「ほぇ?」
冴子さんが不思議そうに明光さんを見た。
「烏野に引っ張られて速くなってたリズムが通常通りにさ。白鳥沢のセッターが本来の自分たちのペースに戻した」
さっき自分が上げたトスでエースがどシャットを決められたのに、この短い時間で気持ちを立て直してきた。凄い精神力だ・・・・。
そのまま20-25で白鳥沢がこのセットを獲り返していく。
コートチェンジ
「次のセット取ろう!」
「攻撃力で烏野は負けてないんだ。あとはどうブレイクするかだな」
「西谷先輩はきっとボールに慣れてきてると思うんです。月島くんだって白鳥沢の攻撃に反応出来てます。あとちょっと。きっとあと少し、何かきっかけがあれば・・・!」
「昔っからそんくらい考えてくれりゃあなあ」
聞き覚えのある声が聞こえた
「「「!!!」」」
滝ノ上さん、嶋田さん、明光さんの背筋がピシッ!と伸びる。
「「「チワース!!!」」」
烏養監督だ!見に来てくれたんだ。
「いい試合してるみたいだな」
近くの席に腰をおろす。
これで烏野側の心強い味方が1人増えた!
「(がんばれっ!みんな頑張れ!!!)」
必死に気持ちを送る。
「「「烏野ファイトォー!!!」」」
「(あの5番のゲス・ブロックが”120点か0点どちらか”なら、
リード・ブロックは”平均75点キープ”ってとこか)」
日向がサーブをうつ。背中越しからでも緊張が伝わってきた。
「(傍目には120点獲りに行くほうがカッコ良く見えるのかな)」
”攻撃は日向くんや影山くんが目立ってたけど、月島くんが前衛の時は向こうの攻撃凌いでくれてたでしょ?
月島くんのプレーが今日の勝ちに繋がったんだね!”
「(目立つプレーじゃなくても、ちゃんと見てくれる人がいる。
僕は僕の仕事を。・・・絶対にタダでは通さない)」
月島がブロックに跳ぶ