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約束の景色

第44章 代表決定戦! 伊達工業vs青葉城西 【鼓舞】


コートでは伊達工業と青葉城西の試合が行われている。
勝ち上がってきたどちらかが、次の烏野の対戦相手。
みんなの視線がコートに集まる。
「潔子先輩!いまのうちにドリンクの準備してきます」


「あっ、一ノ瀬ちゃん」
水飲み場に向かう途中で山口くんと会った。
「ドリンク作りに行くの?手伝うよ」
「ありがとう」
少し沈黙が続いたあと山口くんが口を開く
「さっきの試合でピンチサーバーとして出たんだけど・・・」
試合のことをポツリポツリと話し出す


”しょうがないよ。大丈夫!頑張ったんだもん、次やればいいよ”
そんな言葉を一ノ瀬ちゃんから言ってもらいたくて甘えた。
「俺、逃げたんだ。あの場所に立った瞬間怖くなって、弱気になった」
口に出したらあの瞬間のこと思い出して、悔しさが込み上げてきた。
自分の情けなさも・・・
「悔しい・・?」
「・・・うん、物凄く。コートに立ちたいってずっと思ってたけど、こんなのじゃない。ちゃんと戦えばよかったって、いま後悔してる」

一ノ瀬ちゃんの返事がない。黙ったまま。
もしかして呆れちゃった?あまりに情けないから。
「(くそカッコ悪い・・・)」
「次は勝ちに行くサーブしよう。もう後悔しないように」
凛とした声でそう言われてハッとした。隣をみれば真っすぐ俺の事見てる。
「(優しい言葉かけてほしいなんて思ってたけど・・・バカだったな。こっちのが何倍も救われる)」
「いつもサーブの練習全力でやってるの見てきた。
山口くんならあの場所で戦える。あとは勇気出すだけだよ」
そう言い切った彼女の言葉が刺さる。力強い言葉に背中を押してもらえた気がした。
「もう逃げない!次は絶対に強気で勝ちに行く!」

「弱気になっちゃって、こんな事聞かせちゃってごめんね・・・」
「ううん!全然いいよ!」
「こうなっちゃったときは・・・また喝入れてほしい」
「分かった」
コホンって1回咳をしたあとこっちを見る。
「山口ー!なに弱気になってやがるボゲェ!」
多分・・・影山の真似した言い方だ。
いたずらっ子みたいに笑う笑顔が可愛い
「私も弱気になった時は喝をお願いします」
「俺も”ボゲェ!”の練習しておくね?」


山口くんの表情が変わった。
「今から烏養さんのとこ行ってくる!」
力強くそう言うと駆け出して行く。
「(大丈夫、今度は絶対出来るよ!)」
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