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約束の景色

第38章 遭遇


月島くんのお兄さんは社会人で、いまは社会人チームでバレーを続けているらしい。

「部活のあとに自主練もするなんて大変じゃない?」
「月島くんもやってますよ?」
「蛍は選手だから。一ノ瀬さんはマネージャーなのに凄いよね」
「マネージャーって自分のやってることが正解なのか答え合わせ出来る場所がないんです・・・。
合ってるかな?これで大丈夫かな?って時々不安になります。
それに私の周りの1年生がみんなすごくて!
いつもずっとずっと先を歩いてて・・・置いてかれないように走っても全然追いつけなくて」
しまった!つい自分の事ばかり話しちゃった。
「すみません!情けないことばかり言っちゃって。西谷先輩に”シンプルでいい”って言われてるのに」
焦るとすぐ不安になる。
でも私は一気に出来るようになるタイプじゃないって分かったし、近くには頼りになる人たちがいる!
「まだみんなと並んで歩けないけど、1つずつ出来るようになって後を追いかけてようって。その為の自主練です!」
いまはまだ力不足だけど、頑張っていつか追いつきたい。


目の前で話す一ノ瀬さんを見てたら、なんだか学生時代の自分を急に思い出した。
一生懸命でがむしゃらで。
”上手になりたい!”って前だけを見て全力で走り続けたあの頃。
先輩達からはこんな風に見えてたんだな・・・。
「俺も選手だからコートに立った時の気持ち分かるんだけど、応援って本当に力になるんだよ?
しんどい時とかもうダメだって思った時に、みんなの声聞こえてくると踏ん張れるっていうか。
それに選手が良い環境で練習出来るのってマネージャーやコーチ、みんながサポートしてくれてるからだと思う。大きな存在だよ?
マネージャーがそんな風に一生懸命頑張ってる姿をすぐ近くで選手も見てる。
きっと一ノ瀬さんの頑張りに刺激貰ってると思うよ」
最近母さんから教えてもらった
蛍が家に帰ってくると楽しそうな顔してること。
それに部活の事もたまに話してくれるらしい。

「そう・・・ですか?」
「うん!」
目の前の一ノ瀬さんが安心したように笑った。
「困った事あったら蛍にも言ってみて?うちの弟頼りになるよ!」
「はい!」
「待たせて悪い!帰るぞ」
「「お先に失礼します!」」

挨拶した二人が元気に駆け出して行く。
そんな後輩達の背中にエールを送った。
「頑張ってね!」
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