第36章 春高一次予選 試合開始!
「すごいね!今のフェイントだったけど反応早かった!」
「なっ!待ってたみたいだった!」
試合を見守る優くんたちの声が弾む。
合宿で色々な学校とみっちり連戦してきた成果がしっかり現れ始めてる!負けは確かに多かったけど・・・経験値なら烏野がどの高校よりも一番稼いだはず!
ペナルティだって一番こなしたし!
ブロックしてた日向くんがあっという間に動きだし、ナナメに跳ぶ!
「「スゲェーーー!!」」
「日向くんナイスキー!」
3人でハイタッチして喜ぶ。
第一セットを烏野が取り、第二セットも順調に点を重ねていく。
「2,3年が予想以上だ・・・」
「?」
「・・・去年、ほんの短期間烏野で練習を見た事があったんだが、その頃のやつらには実力も根性もあんのに、どこか自信のなさを感じたんだ。
無意識のうちに負けることに慣れているというか」
そういえば・・・大地先輩や田中先輩たちは烏養監督に教わったことがあるって言ってた。
「(”自信のなさ”とか”負けることに慣れてる”なんてこと、今の先輩たちからは1ミリも感じないけどなぁ)」
「そんな風には見えないか?」
「あっ、はい!」
声に出してたっけ?って焦る。
考えてること顔に出てるぞ、って笑われた。
「今の3年連中が烏野に入って来たのは烏野が”強豪”と呼ばれた時代がちょうど『過去』になった頃・・・
憧れと現実のギャップもあっただろう。
一番不遇な時代に居た連中なんだろうな」
そんな時もあったんだ・・・。
先輩たちはそんな中でもずっとバレー続けてきたんだ・・・。
「だからこそ、腐らずにここまで来た連中には”簡単に揺るがない強さ”がある」
大地先輩がボールを拾い、旭先輩がしっかりと決める。
「すごい!またレシーブ上げたよ?」
「ボール全然落とさないね!」
”簡単に揺るがない強さ”、いつも感じる頼もしさはそこから来てるんだ。
やっぱり先輩たちってすごいや!
最後は日向くんが決めてセットカウント2-0で烏野が初戦を突破した。
「勝った!」
「翔ちゃんたち勝った!」
「初戦突破したー!」
「「「やったー!!!」」」