第36章 春高一次予選 試合開始!
ついに春高バレー宮城県代表決定戦一次予選がスタートする。
宮城県代表の枠は1つ
予選で2回勝てば烏野は10月の代表決定戦へ進出だ。
一次予選を突破した8校に、更に強豪8校を加えて10月の代表決定戦となる。
「うちは2回しか試合できないんですか?」
「インハイ予選でベスト16までいってるから一次予選一回戦は免除になってるんだよ」
日向くんの質問にスガ先輩が丁寧に説明した。
「フオォ!おれたちスゲーッ!」
1回戦の対戦相手は扇南高校。
公式戦は初めてじゃないのに・・・初戦というのものはやっぱり慣れない。
「みなちゃん、大丈夫?」
青ざめた顔したのに気づいて潔子先輩が優しく背中を優しくなでてくれる。
「俺も緊張してきた・・・・」
隣の山口くんの顔色も悪い。やっぱり会場のこの空気感はすごいよね。
「二人とも落ち着いて?」
山口くんと二人、潔子先輩に緊張をほぐしてもらった。
公式ウォームアップが終わり2階に移動。
今日は嶋田さんも滝ノ上さんも仕事で来れない。
・・・頑張らなきゃ!
下から聞こえてくる大地先輩の声かけに合わせて私も声を出す。
「(思ったより声出てない?)」
ほとんど聞こえない自分の声に苦笑いしてしまった。久しぶりの一人ってやっぱり心細い
「声ちっちぇーな。それじゃあ下のチビ太郎達まで届かねえぞ?」
「烏養監督!」
「元監督、な?」
それに優くんたちも来てくれてる!
「みなちゃん!応援に来たよ!」
「ありがとー・・・」
嬉しい援軍にホッとした。
「心細かったんでしょー?だいじょーぶ!おれが隣でちゃんと応援してあげるから」
コートの日向くんに向かって「翔ちゃんがんばれー!」と大きな声援を送る。
気づいた日向くんが手を振った。
「飛雄もがんばれー!」
こないだ影山くんのセットアップを見て憧れのセッターになったみたいで、「おれの師匠にするんだ!」ってこっそり教えてくれた。
誰かの憧れの存在になるってすごいな。
「さてさて、今日の烏野はどうだろうな・・・?」
楽しそうに烏養監督がコートを見下ろした。
試合は旭先輩のジャンプサーブから始まる。
ズドン!という音を立ててボールが扇南側のコートへ落ちた。
「すごい音した・・・」
「ノータッチ・エースだ・・・」
優くんたちがポカンと口を開く。
「旭先輩!ナイッサァーー!」
「やるじゃねーの・・・」