第33章 2回目合宿 最後の夜
音駒高校 研磨・黒尾ver
校庭に到着すると、日向くんたちはどの打ち上げ花火に誰が火をつけるかでワイワイ盛り上がっている。そんな彼らを見てほほが緩む。
「一週間お疲れ様」
声が聞こえたほうを振り向けば研磨くんが座っていた。
みんなの輪から外れて静かなほうに逃げてきたみたいだ。
「来た時は1週間長いな~って思っていたけど、始まったらあっという間だったね!明日はもう帰るんだって考えると寂しいな」
研磨くんの横に座る。
ずっと借りていたジャージの洗濯が終わったので渡すと「わざわざ洗ってくれたの?そのままで良かったのに・・・」と言われた
まさか!そのまま返すなんて出来るはずがない。
「おれは明日で帰れるって正直ホッとしてる。
早く帰って家でゆっくりゲームしたい。ここは騒がしかったから・・・」
研磨くんの周りには毎日誰かしら人がいた。
リエーフくんだったり、日向くんだったり、影山くんだったり。
隠れようとしてもすぐに見つかっていたから静かな時間は確かになさそう。
「でも翔陽とみなに会えなくなるのはちょっと寂しいかな?」
合宿中も休憩時間などよく3人で集まっていた。
黒尾さんと大地先輩に「早く戻れ!」って何度も怒られたなぁ。
それに、音駒の手伝いの時はバレーの事色々と教えてくれた。
「研磨くんのおかげでたくさん覚えられた!本当にありがとう!」
「それなら良かった。いつでも聞いてね」
メモすることが沢山で、合宿前に買ったノートはこの一週間で使い切ったくらいだ。
それに私でも出来そうなゲームも教えてもらった!帰ったらやってみよう。
「みなは東京遊びにきたりしないの?」
「行かないなぁ・・一人だと迷子になりそうだし。でも行ってみたい場所は沢山ある!」
ちっちゃい頃は東京に住んでたけど家の周りぐらいしか記憶にない。
「いつか遊びにおいでよ。人込みはちょっと苦手だけど・・・
おれ案内するから」
「俺もいつでも案内するぞ?」
黒尾さんも私たちのところへやってくる。
「クロ・・・・」
「(”なんで来たの?邪魔”って目で見るなよ)」
黒尾が苦笑いした。
「研磨、チビちゃんがお前の事探してる」
ほらあっち、と指さした先にリエーフと日向が
「研磨ー?」
「研磨さーん」
と探し回っている姿が。
「はぁ・・・ちょっと行ってくる」
重い足取りで歩いて行った。
