第32章 2回目合宿 月の出
「影山くん、そろそろ夕食の時間だから戻ろ?」
「おう」
戻る途中、第3体育館を見ればまだ明かりが付いている。
月島くんたちも遅くまで練習してるんだ。
ご飯終わっちゃうよ~って一声かけておかないと忘れてそう。
「ちょっと向こうのみんなにも声かけてくる!先に戻ってていいよ」
影山くんはここで待ってると言ってくれた。
中を覗き込めば、3対3で試合をしているところだった。
「(あれ?日向くんとリエーフくんも混ざってる?珍しいメンバーでやってるな)」
盛り上がるみんなに声を掛ける。
「お疲れさまでーす。そろそろ食堂行かないと夕ご飯間に合いませんよ?」
一斉にこちらを向き「それは困る!」と急いで片付けだした。
「(やっぱり気づいてなかったんだ。声かけて正解だったな)」
駆け足で影山くんの元に戻る。
「あー・・・腹減ったな」
「私も~!今日は何食べようかな」
一方、第3体育館
「よし!今から一ノ瀬ちゃんのとこまで勝負だ!
勝ったらみんなから好きなおかず貰える権利ゲット!」
「なんですかそれ?ごはんは好きに選べるじゃないですか」
「おれ負けないです!」
「俺も!」
「ツッキーは参加しないんだな?」
「ライバルが一人減りましたね」
「えっ・・ちょっと、赤葦さんまで?」
木兎が大きな声で「よーい、ドン!」と言うと、全員が一斉に走り出す
影山が後ろから感じる違和感にいち早く気付いた。
「オイ!走るぞ!巻き込まれたらヤバい」
「えっ?」
振り返れば、砂埃を上げて何かが迫ってくる。
二人は全力で校舎に向かって走りだした。
「・・っわ、わたしもうダメそう。先に行って・・・」
「諦めるな!行くぞ!」
息が上がりスピードが落ちる一ノ瀬の腕をつかむ。
「あっ!影山がゴールを連れてっちゃう!」
「まだ勝負は終わらない!」
「負けない!」
「ヘイヘイヘーーイ!」
物凄い勢いで食堂へ駆け込んできた集団に、周囲の人たちが驚いていた。