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約束の景色

第32章 2回目合宿 月の出


「触ってボールの勢いを弱める為の”ソフト・ブロック”と、完全にシャットアウトする為の”キル・ブロック”・・・」
昼休みに潔子先輩に教えてもらった事を忘れないうちにノートにメモした。
「レフトォー!」
烏野の第1戦目の相手は梟谷高校。
力強くボールを呼んだ木兎さんに大地先輩と月島くんがブロックに入る。

「(あっ!)」
ブロックに入った月島くんの空気が変わった。
木兎さんは月島くんの雰囲気を察知してフェイントに切り替える
「(月島くん凄い!!)」
思わずニヤけてしまう。
だって月島くんが木兎さんを!!

黒尾さんも月島くんのその瞬間を見ていたようで
こっちを見るとニヤッ!と笑った。
だから私も”見ました!”と、何度もうなずいた。
「厄介な雛鳥が殻を破り始めたかな?」
横に座る猫又監督が嬉しそうに言う。
「(こっちのベンチにいるのに、こんなに烏野側チラチラ見られたら、負けてられないって悔しいだろうな。
この子はいつもうちのチームをやる気にさせる。ある意味天才だな)」
猫又監督が笑った。

少しずつ烏野高校が進化している。みんなの練習の成果が出始めてる!
今度は日向くんと影山くんの新しい速攻が決まった!
「(!!!)」
影山くんが上げたトスは日向くんの目の前でスピードを緩め、日向くんがそれを綺麗に打ち抜く。
ボールはバシン!と音を立てて梟谷側のコートに落ちた。

「(この音は・・・きっと始まりの音だ!!)」

嬉しくてちっちゃくガッツポーズして喜ぶ。
手に持っていたノートがグシャリと潰れた。
ぶつかってから二人が別々の練習を始めて、なかなか成果が出ず、それでもお互いを信じてひたすら練習を続けている姿をずっと見ていた。
「(ついに・・・ついに成功したんだ!二人のコンビが戻ってきた!)」
嬉しそうに声を上げて喜ぶ二人の背中を見て涙が溢れそうになった。
ずっとずっと待ってたこの瞬間。

こっちのコートでは音駒の次の試合が始まる。
円陣に呼ばれ、気づかれないように袖でゴシゴシ目をこすった。
「なんだよ?泣いてるのか!?」
しかし一瞬で気づかれる。
「目にゴミが入っただけですっ!!」
「黒尾が一ノ瀬ちゃん泣かしたぞ!」
「ち、違う!俺じゃない!!・・・よな?」
「黒尾さん、女の子泣かすのよくないです」
「リエーフ!俺じゃないって言ってるだろ!」
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