
第31章 合宿2回目 変化②

夕方、ここからは日向くんと影山くんの自主練のお手伝い。
猫又監督と黒尾さんの話を聞いてから、なんとなく月島くんの事が気になるようになった
「(周りのみんなが残って自主練してるから余計に月島くんが目立つのかなぁ・・・)」
”勝つために必要なのは100点を目指すやつ”
黒尾さんはそう言ってた
木兎さんが「スパイク練習しない?」って月島くんを誘いに来たけど、あっさり断ってしまう。
日向くんが「もったいねー!」って羨ましそうに言った。
「・・・日向ならいまのツッキーになんて言ってあげる?」
「おれ?何にも言わない。だってバレーやりたいか分かんねーもん」
「ツッキーはバレー嫌いじゃない筈なんだよ・・・」
「山口は?山口なら月島になんて言う?」
そう言われて黙り込む。
「一ノ瀬ちゃん・・・」
山口くんの瞳がゆれてる。
月島くんに何か必死で伝えたいことあるんだ。
この前大王様と岩泉さんに言われた言葉が頭に浮かんだ。
”信頼してるからこそ思い切りぶつかれる”
「山口くんの思ってる事、そのまま伝えていいんじゃないかな?月島くんに」
誰よりも近くで月島くんを見てきたのだから。
「・・うん!俺行ってくる!!」
うぉーーーと叫びながら走っていった
「月島ってさ、カッコ悪いこと絶対しないじゃん?
だから大丈夫だと思うんだ。バレー上手いのと下手なの、どっちがカッコイイのかなんて決まってんじゃん!」
そう言った日向くんがネットのほうに移動した。影山くんもいつもの場所にスタンバイ。
私がボールを山なりに投げて、影山くんが日向くんにトスを上げ、スパイクを打つ。
毎日毎日この練習を続けている。二人なら必ず完成させてくれるよね。
しばらくして向こうの体育館にバッグを忘れてきたことに気付いた。
「忘れ物取ってくるね!」
一声かけて急いで第3体育館へ向かう。
体育館の手前、渡り廊下で立ち尽くす月島くんがいた。
山口くんとの話は終わったのかな?
近づいてくる足音に気付いて振り向く。
「お疲れ様」
声を掛けそばを通り抜けようとすると
「たかが部活だろう?・・・そんなに必死になること?」
小さな声が聞こえてきた
「どれだけ頑張っても上には上がいて、例えそこそこの結果を残しても絶対に”1番”になんかなれない。どこかで負ける。
それが分かっているのに・・・みんなどんな原動力で動いてるんだよ!」
