第29章 合宿2回目 変化①
朝の練習が始まる前に西谷先輩と体育館へ。
「トスの練習したいから手伝ってくれ!」と言われて
朝ごはんのあと二人で体育館に1番乗りした。
「音駒での仕事どうだ?」
「色々教えてもらえるので楽しいです!黒尾さんから”GWの時より頼もしくなった”って言ってもらえました!」
「それは嬉しいな」
「近くで見てると、音駒のバレーはレシーブ凄いなって改めて感じます」
ボールが本当に落ちない。みんながとにかくボールを繋ぐ。
音駒の”繋ぐ”バレーの凄さを再確認した。やっぱりすごいな。
「あ!烏野が前回の合宿の時と違う、ってみんな驚いてましたよ!」
シンクロ(同時多発位置差)攻撃や旭先輩のジャンプサーブ、それに西谷先輩のバックゾーンから踏み切ってのジャンプトス。
日向くんたちの速攻はまだ決まってないみたいだけど、挑戦し続けている。
猫又監督は「カラスは雑食だな~」って嬉しそうに笑ってた。
「西谷先輩のジャンプ力も凄かったです!ナイス着地でした!」
トス上げようとボール目掛けて飛んで行ったけど、触ることなくネットの方で着地した。
「くっ・・・あれは・・・」
今のは褒めてないだろ!って髪の毛ぐしゃぐしゃっとされる。
「成功させるためにはオーバーの練習だ!スガさんにも教えてもらってるんだけどやっぱりオーバー苦手なんだよな~」
守護神って呼ばれるくらいすごい西谷先輩でも苦手なものあるんだ。
「みなはちょっとバレー上手くなってきたな?ボール正面で受けられるようになってる」
「本当ですか!」
「おう!!」
「うぃ~っす」
烏野の部員たちが続々と体育館にやってきた。
「一ノ瀬、休憩時間はしっかり休めよ。昨日途中から顔赤くなってたぞ?水分もしっかり摂れ」
あぁ・・・大地先輩も気づいてたんだ。
仕事に夢中で途中から水分補給忘れてて、ちょっと頭がクラクラしてた。
研磨くんに見つかって怒られて、そこから芝山くんが私の水分係みたいに定期的に飲み物渡す、っていうやり取りがあったのだ。
「頑張り過ぎ注意な?」
大地先輩に「ペン貸して?」と言われて渡すと、差し出した手をそのまま掴まれて”水分補給!”と大きく書かれた。
「今日一日これを意識するように」
「は、はいっ!」