第28章 合宿2回目 雛の成長
自分の話を熱心に聞いてくれる相手がいて嬉しいっていうのもあるかもしれない。
気付けばリエーフや犬岡、芝山も二人の近くへ行き話を聞いている。
研磨が試合に出ている時は犬岡たちが
「さっき言ってたことがあれで・・・」と説明しているようだった。
研磨や犬岡たちの話を聞いたあとに試合を見ると気付くことも多いのだろう。
良い活躍をするとメモを取ったり積極的に声を出している。
華やかなプレーよりも注意しなければ気づかないような細かなプレー、献身的なプレーをするとよく声をかけてくれた。
それに鼓舞されて、俺たちもいつも以上に集中してきてるのを感じる。
俺たちのそんな姿を見て、猫又監督は終始嬉しそうだった。
試合前の円陣にはもちろん加わってもらう。
チョイチョイと手招きすれば嬉しそうに走ってきて空いている隙間に入った。
俺か研磨の隣に入るより先に、他のやつらが自分たちの間にスペースを空けてくる。
今回は夜久と芝山の間に収まった。
部員たちの間ではここでも熾烈な戦いが始まっている。
俺たちは血液だ 滞り無く流れろ 酸素を回せ ”脳”が正常に働くために
「行くぞ!」
「「「あス!」」」
今日の戦績はなかなか。いいリズムが作れてきている。
試合が終わり片付けもひと段落すると、こっちの体育館に烏野のセッターがやってくる。
この後はチビちゃんたちの自主練の手伝いらしい。
「また明日もよろしくな」
「はい!」
声をかければ、元気よく返事をする。
”また明日”って、なんかいいよな?
この合宿中は毎日俺たちのベンチにいてくれるんだ。
「ヘイヘイヘェーイ!黒尾ー!俺の練習相手してくれ」
木兎と赤葦がやってくる。
先ほどまで近くにいた研磨はいつの間にか消えてた。
「ん?マネージャーちゃんはどこだ?」
木兎がキョロキョロと探しているのは、多分みなちゃんのことだろう。
「カラスのお迎えが来て帰っていったよ」
「なにっ!遅かったか・・・」
挨拶したかったのに、と悔しがる木兎を赤葦がなだめる。
「大丈夫です。食堂で会えますから」
木兎の扱いでこいつの右に出る者はいないだろう