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約束の景色

第24章 前進


烏養side

今日は部活が休み。なのでのんびり坂ノ下商店で店番。
昼までで授業が終わった生徒たちが寄り道していくのを
「気を付けて帰れよ~」と見送っていた。
次に入ってきたのは一ノ瀬。
俺の教えるバレー部の1年生マネージャーだ。
商品棚に向かうことなく、まっすぐこちらに歩いてくる。

「烏養コーチ、向こうのテーブル少し使っててもいいですか?」
「おう、いいぞ」
座るとバッグからノートを取り出しなにやら勉強を開始する。
「勉強なら家でやったほうがよくないか?」
ニオイつけたら悪いと思ってタバコは消す。
「あっ、学校の勉強じゃないんです。バレーの勉強です」
そう言って照れたように笑った。
部活ない日でもバレーの事考えてるのかよ?
日向といい、影山といい、バレー部のやつらは本当に真面目というか。
ちゃんと友達と遊んだりもしてんのか?貴重な学生生活もちゃんと楽しめよ?
バレー経験はなく、日向達に誘われてマネージャー始めたらしいから覚えること沢山あるんだろうな。
「(まぁ、頑張ってる姿見てると応援したくなるよな)」

なんの勉強をしてるのか気になって近くに寄っていく。
幸いこれから暇な時間になるし、しばらく誰も来ないだろう
「テーピング?」
俺が近くに来たのが分かると顔を上げた。
「いまテーピング巻けるように練習してて。
みんながどういう巻き方が好みかっていうのは覚えてきたんですが・・・実際にやってみようとすると難しいです。
自分の指じゃなかなかうまく出来なくて」
「人によって好みもあるからな」
「満足いくテーピングできるように沢山練習しないと!烏養コーチはいつもどんな感じでやりますか?」
「俺はこうかな?」
一ノ瀬の目の前でいつもやっているようにテーピングする。
「俺はここしっかり固定したいからちょっときつめにやってる」
なるほど・・とメモを取った後「私にもやらせてください」と言われる。
一ノ瀬の横に座り手を預けた。

「こんな感じですか?」
ぎこちない手つきだが色々練習したのだろう、ということは分かる。
毎日頑張ってるもんな。
日向と西谷、山口はよく練習台になってやってるし、澤村、菅原、月島あたりは自分から理由付けて一ノ瀬がテーピングやれるようにしていた。
「うーん、もうちょい強めでもいいぞ」
「分かりました」
何度も繰り返す。
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