第23章 日頃の感謝
「武田先生!行きましょう」
ジャージに着替えて職員室に武田先生を迎えに行く
「すみません。部活お休みの日に手伝わせてしまって」
武田先生と遠征で使うバスの洗車。
申し訳なさそうに言うが自分の仕事があって、バレー部の顧問もして、練習試合の相手校を探して、遠征の時は運転までして・・・
先生は一体いつ休んでいるんだろう?
いつも心配になる。
定期点検で体育館が使えない為しばらく部活は休み。
先生がバスを洗車するという話を聞いて、勝手に手伝っている。
「今日は部活なくてヒマなので。それに二人でやったほうが早く終わりますよ!」
腕まくりしてブラシを持った。まずはバスの外側から洗っていく
「バレー部の皆さんは本当に頑張ってますね!
東京では色々なチームと交流出来ていい勉強にもなりましたし。
僕はバレー教えることは出来ませんからそっち方面は烏養くんにお任せして、その他の僕に出来ることを全力でします。
君達には全国に行ってもらいたいですからね!」
私も先生と一緒。みんなの為に自分に出来ることを全力でする!
「一ノ瀬さんも色々と頑張ってくれて・・・いつも本当にありがとう」
「今は先生に言われた通り、1歩ずつ進んでいる最中です」
「君は本当にすごいスピードで成長していると思うよ」
にっこり笑う武田先生。
「バレー部の人達の影響力が凄いんだね」
「今は2階席から応援することしか出来ないですから・・・」
いつかみんなと同じコートに立って一緒に戦いたい。その為にも今できることを1つずつ。
「その気持ちを皆に言ったことある?」
「・・一度日向くんと影山くんの前で言いました。”私はコートに立てないし、一緒に戦えないから”って」
「それに対して彼等はなんて?」
「”場所はどこだって、一緒に戦っている仲間ってことに変わりない”って」
インハイ予選の前の日、二人は力強くそう言ってくれた。
「彼等らしい言葉だね。
僕もそう思うよ。君の声はいつもコートまで届いている。
そしてその声が選手達の力になっているのが僕の場所からだとよく分かる。誰にでも出来ることじゃない」
先生の言葉は優しい。
「コートの外からも仲間が一緒に戦ってくれるんだ、とても心強いね。烏野バレー部はこれからもっと強くなっていく。僕も一ノ瀬さんに負けてられないな!」