【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第15章 一陽来復を願う(外伝・伏黒恵視点)
「弟さんには今回のこと連絡したんですか?」
「…弟とは連絡も取れないし、会えないの。それに…弟がいることは、みんなには内緒でね」
訳ありなのか、仲違いなのか…そんな状況であることが不思議だった。
弟さんの話をするさんはいつもにも増して優しさに溢れてて、弟さんのことをどれだけ大事に思っているのか伝わってくるというのに。
「だから今話したのは、私と恵くんだけの秘密にしてくれる?」
「それは、五条さんにもですか?」
「…うん、五条さんにも内緒ね」
「…分かりました」
そうして俺はさんと秘密の約束を交わした。
その後も何度かさんの任務に同行させてもらったが、さんは相変わらず強くて、優しくて、いつも穏やかな微笑みを向けてくれた。
あの日交わした約束を掘り返すこともなく、俺はさんの秘密を胸に仕舞い込んだまま、時が過ぎていった。