【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第15章 一陽来復を願う(外伝・伏黒恵視点)
2018年4月、俺は呪術高専に入学した。
「恵くん、久しぶりだね。入学おめでとう」
一級術師として高専に所属しているさんに高専内で再会した。
「去年の百鬼夜行、さんも参戦したんですか?」
久しぶりの再会にしばらく会話を弾ませていたのだが、俺が世間話に切り出したその話にさんは珍しく表情を曇らせた。
「私は参戦しなかったの」
「…何かあったんですか?」
「…私に弟がいるって恵くんに話したこと覚えてる?」
「覚えてます。みんなには内緒だって約束したことも」
「ありがとう。…恵くんには、私の口から話しておこうかな」
さんは、百鬼夜行の首謀者だった呪詛師、夏油傑が実の弟なのだと話してくれた。
『弟とは連絡も取れないし、会えないの。それに…弟がいることは、みんなには内緒でね』
昔、さんがそう話してたことにすべて合点がいった。
十年前、術師の犠牲の上で成り立つこの世界を憂いて呪詛師となった夏油に、非術師だったさんも手にかけられたというのだが。
「あの子は昔からとても優しい子だった。優しすぎたからこそ…きっと非術師の存在を許せなくなってしまったのよ」
さんは夏油のことを否定しなかった。
『人を許せないのは悪いことじゃないよ。それも恵の優しさでしょ?』
美津紀の言葉が自然と頭に浮かんで、思わず目頭が熱くなった。
…やっぱり、アンタら似た者同士の善人だよ。