【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第15章 一陽来復を願う(外伝・伏黒恵視点)
「二人揃ったところで、今回の件だけど…」と五条さんが話し始めた。
「残穢から推測して特級クラスの呪霊だったと思うよ。あの首塚には相当な数の首が弔われているそうだ。近年あの山で自殺者が増えたのも、あの首塚に引き寄せられていたのかもしれないね。しっかり調査すれば分かったことなのに、僕なら何でも祓うからって、調査が不十分なまま任務を回してきたんだろう」
「怠慢も甚だしいよ、まったく…」と大きなため息をつく五条さんは、さんの前だからか怒りを抑えているように見えた。
「そんな任務だとは知らず、代わりに行ってもらってには申し訳ないことしたよ。ごめんね」
「五条さんが謝ることじゃないですよ。それに特級呪霊を祓うことができたので、昇級査定中の身としては悪くなかったです」
「…死にかけたくせに。いつもなら反転術式で治してるはずなのに、大怪我したまま気絶してぶっ倒れてるんだから。さすがに僕もヒヤッとしたよ」
「反転術式を使ってたらあの呪霊を祓うのには呪力が足りなかったので、治癒するのは途中でやめたんですよ」
五条さんもさんも笑いながら話しているのだが…大怪我をしたさんを目の前に激情を露わにして取り乱した五条さんを、気を失っていたさんは知らないのだろう。
さんの前では格好つけたがる五条さんにとっては、取り乱した自分をさんに見られずに済んでよかったのだろうけれど。
「恵くん、ごめんね。私がもっと早くに祓えていれば、怖い思いをさせずに済んだのに」
そう言って謝罪するさんに俺は言葉が詰まって何も言えなかった。
結果的にさん一人であの呪霊を祓うことができたのだ。
俺は折角逃がしてもらえたのに、自分の勝手な判断で出戻って、挙げ句の果てに気絶して。
俺が気を失った後、俺を庇いながらさんは呪霊を祓ったのだろう。
おそらくさんは俺を庇って怪我を負った。
俺はとんだ足手纏いだった。
自分の不甲斐なさに涙が込み上げてきそうになるのを、俯いて必死に堪えた。