【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第13章 新たな夜明けを君と(後日談、R18)
いつからのことを特別な女性として意識するようになったのか。
はっきりは覚えていないが、僕が高専を卒業する前には既に、いつも頭の片隅でのことを考えていたと思う。
今日は任務に行ってるからの顔見れないな、だとか。
時間が取れそうだからに稽古つけに行こう、だとか。
出張先でへのお土産は何にしようか、だとか。
次にと会えた時には食事にでも誘おう、だとか。
どうしたらの気を引くことができるのか。
どうしたらが僕に笑顔を向けてくれるのか。
考えれば考えるほど、を好きな気持ちは大きくなり、それに比例して慎重になっていった。
自信がなかったわけではない。
も僕に好意を持ってくれているのではと感じる瞬間が少なからずあった。
僕の言動に顔を赤くしながらも嬉しそうにはにかんだり、ふと僕を見たの視線がいつも通り柔らかくも僅かながら熱がこもってるように感じられたりと、自意識過剰ではなく、その瞬間だけは確かには僕を見てくれていて、僕は堪らなくが欲しくなった。
それでも、もう一歩を踏み出せずにいたのは、次の瞬間には何事もなかったかのような顔をして僕から離れていくが、意図的に壁を作って頑なに心を閉ざしているように見えたからだ。
その理由が見当もつかなくて余計僕の心は掻き乱されたのだが、もし追い回したり無理やり暴いたりして、を傷つけてしまうのも、それで嫌われてしまって、が僕に笑顔を向けてくれなくなるのも嫌だった。
そう思えるくらい、は僕にとって愛おしい存在だった。