【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第13章 新たな夜明けを君と(後日談、R18)
「悟くん、寒い?エアコンの温度もっと上げようか?」
後ろからぎゅーっと抱きしめる僕を、は暖を取るためだと勘違いしたのか「ちょっとごめんね」と言いながら、エアコンのリモコンを手に取るために僕の腕から抜け出そうとする。
「違うよ。ただともっとくっついていたいだけ」
が僕の腕から抜け出さないように、さらにぎゅっと力を込めてそう伝えると、は照れた様子で「そっかぁ…」と呟きながら僕の腕の中に大人しくおさまった。
百鬼夜行から一週間が経ち、僕もも無事に今年の任務を終えて、一緒に年越しを迎える。
どこか雰囲気の良い宿を取るか、いっそのこと五条家にを連れて行くか、恋人としてと初めて過ごす年越しをどうするか色々模索したけれど、が今日も遅くまで任務だったこともあり、結局は過ごし慣れた高専の寮で新年を迎えることにした。
年越し蕎麦を食べて、それぞれ風呂も済ませて、僕の部屋で一緒に新年が明けるその時を待って、ゆっくりとした時間を過ごしている。
やっと手に入れたを今まさに手中におさめている僕は高揚感でいっぱいだ。
普段から身嗜みをしっかりしているが学生時代振りにすっぴんを見せた時の恥じらった表情だとか、抱きしめた時の柔らかい肌の感触や温もりだとか、僕の嗅覚をくすぐるシャンプーの甘く爽やかな香りだとか。
ずっとこうして抱きしめていたいと思う欲と、この先にも進みたいと思う欲が僕の体の奥底でぐるぐると渦巻いている。
除夜の鐘が遠くの方から聞こえてくる。
煩悩を払うために鳴らされると言われているが、僕の煩悩は消えそうにない。
時計を見ると0時まで、まだ時間がある。
「」
「なぁに?」
「…キスしてもいい?」
今年のうちに、との初めてのキスをしておきたくなった。
僕のお願いには小さな声で「…うん」と頷いてくれたので、僕と向かい合わせになるように「こっち向いて」と促す。
視線が絡み合うと、は照れながらも微笑んで、そっと顔を近づける僕に合わせて目を閉じて待つ。
がやっと僕を受け入れてくれる。
この瞬間を、僕はずっと夢見ていた。