【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第5章 ⑤
『来たる12月24日、日没と同時に我々は百鬼夜行を行う』
『思う存分、呪い合おうじゃないか』
傑が宣戦布告した百鬼夜行が行われる今日、ある違和感に気づいたのは高専側が配置する予定の術師一覧リストを確認していた時だった。
「伊地知、コレってどーゆうことなの?」
新宿・京都どちらのリストにも“”の名前が載っていないのだ。
作った張本人にリストを突きつけて問いただす。
いつにも増して動揺している伊地知を見る限り、単なる記載漏れでないことは明らかだった。
「さんは東北に出張中でして…元々出されていた任務は予定通り終わっているのですが、帰還前に新たな任務が追加で出たため、彼女にはそのまま東北で任務を遂行していただくことになりました」
「その任務ってまさかコレのこと?」
すぐそばの机に広げられている資料を見ると、二級程度の呪霊案件のようだが発生条件の究明からしなければならないらしく、低級の割に時間がかかりそうなものだった。
「こんなことに一級術師を割いてる場合かよ」
「私も正直そう思うのですが、学長からの指示でして…」
「…は?」
あの脳筋学長、何考えてやがる?
伊地知を置き去りにして、今度は学長を問いただすために足早に学長室まで赴く。
アイヌの呪術連にまで協力を要請するほどの事態だというのに、なぜ一級術師であるを呼び戻さないのか。
彼女を東北で足止めするようなそのやり口に疑問を持たざるを得ない。
まさか彼女が夏油一派に何か関係しているのか?
「…はい、上層部からの指示でそのように」
学長室の前まで来るとドア越しに学長の話し声が聞こえてきて、中に居ることは分かったのでノックもなしに勢いのまま扉を開けた。
学長は電話中で、話口調からするに電話の相手は楽巌寺学長あたりだろう。
僕が来ることは想定内だったのか、学長は僕が勝手に入室してきたことに気づいても咎めなかったが、電話を中断する素振りもない。
「幸いにも宣戦布告の場にはおりませんでした」
ちょうどの話をしているようだから、このまましばらく立ち聞きしてやろうと思ったのだが、「夏油にはの存在を知られていないはずです」と続ける学長の話に耳を疑った。