【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第4章 ④
常に人材不足のため、僕じゃなくてもいいような案件も僕に回ってくる。
僕が背負うのが、もはや当たり前のことだったのに。
「五条さんの力には到底及ばないですが…私は五条さんのことも守りたいんです」
そんな僕をは守りたいと思ってくれている。
「…ねぇ、」
が堪らなく愛おしくて。
仲間としての僕の理性よりも男としての感情のほうが上回って、衝動的に彼女をすぐそばの壁際まで追い込んだ。
「僕の気持ち知ってて煽ってるの?」
壁に両手をついて、僕の両腕でを囲い込む。
顔を覗き込むと頬を赤らめたのがよく見えた。
「…五条さん…っ」
「…可愛い」
戸惑いながらも僕を見上げてされるがままの彼女にさらに高揚する。
あと数センチ顔を近づければキスさえもできる距離だ。
なんならこのまま奪って僕のものにしてしまいたい。
「名前で呼んで、悟って…」
この台詞は今までもとの距離を詰めたくて何度も言ってきた。
「…五条さん」
でも彼女からの返答はいつも決まってNOだった。
は我に返ったかのように僕の肩を押し返した。
「私にとって五条さんは術師として尊敬してる先輩なので…これまで通りいさせてください」
優しい笑顔とは裏腹に容赦なく突き放す言葉を受けて、冷や水を浴びせられた気分になった僕は彼女を潔く解放した。
「これから任務なので、ここで失礼しますね」
「…また今度ご飯でも行こ。昇級祝いにさ」
「はい!楽しみにしてます」
「それじゃまた連絡するね」
が望むように今までと変わらない態度で彼女を見送った。
僕も今夜は任務が入ってる。
それまで仮眠をとろうと寮の自室に戻った。
はいくら僕に笑顔を向けてくれても、自分の心を開くことはなく、壁を作っているようにさえ思えた。
その理由は分からないが、無理やりその壁を壊して彼女を傷つけるようなことはしたくない。
どうしたら彼女がその壁を取っ払って僕を受け入れてくれるのか。
「…オマエだったらどーすんの?」
学生時代から変わらない僕の自室の隣、かつてその部屋の住人だった親友に向かって八つ当たりのように問いかけた。
今はもういない親友から返答があるわけもなく、やるせなさに僕はひとりため息をついた。