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【呪術廻戦】幾重の夏に

第3章 離れ離れの夏に


呪術高専では実践的な呪術を学ぶことができる。前歴のある雅は3級呪術師として入学し、解呪の際に補助監督の引率が必須であることを除けば、比較的自由に動くことができた。蔵書で知ったものが、呪術として実際に運用されている様子を真似るのも、良い勉強になるものだ。

加えて、高専を介し、呪術界や社会の構造が明確になった。五条家以外との繋がりは、今後の土台としても、情報網としても重要だ。

「精が出るな」

負傷した同期を担ぎ込むついでに、家入の治療を眺めていると、不意に声をかけられる。経口補水液のペットボトルが目の前に差し出されて初めて、自分の状態に気付いた。

「飲んでおけ。脱水症状だ」

ありがたく受け取り、人心地が着く。血塗れで気にする余裕も無かったが、眩暈がすると思っていたところだった。

「反転術式が気になるか?」

ふらふらと水を飲みながらも、治療を注視する雅に、家入は尋ねる。気になるなんて楽観的に言ってもいいものだろうかと、雅は首を傾げた。

「いつか通る道だとは、思っていますが」

悟を追うのであれば、避けては通れない。「根を詰めすぎないように」と医師らしい言葉を投げかけてから、家入は笑った。

「まぁ、君ならいつ来てくれてもいいよ」

「同期のよしみだ」と付け加えてから、驚いて目を丸くしている雅の頭を撫でる。

「後進育成の、手伝いくらいはしてやろうかと思ってね」

思わぬ支援者に、雅は頬を染めて喜んだ。
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