第2章 【おにショタ】②
翌日、私は伊織を連れて街へ出ると、宝石店へと向かいました。そしてショーケースに並ぶダイヤモンドを眺めながら言います。
「どれが良いですか?値段は気にしなくて大丈夫ですよ」
私の言葉に伊織は困惑した表情を浮かべました。どうやら値段が気になるようです。子供らしいですね。私は店員を呼ぶと指輪のオーダーをしました。するとその金額を見て伊織は慌てています。ふふ、可愛らしいですね。
「お、お兄ちゃん……こんな高価なもの……」
「気にしないでください。これは私の気持ちなのですから」
そう言うと伊織は嬉しそうに笑いました。それからしばらくして指輪が出来上がると、私達は再び店へと戻りました。そして支払いを済ませた私は指輪の入ったケースを伊織に手渡します。彼は緊張気味にそれを受け取りました。
「さぁ開けてみてください」
私の言葉に頷く伊織。蓋を開けると眩い光が溢れ出します。伊織がそれに驚く間もなく、私は彼の指に指輪を嵌めてやりました。
伊織の細く小さな子供の指に、ダイヤモンドの指輪はまるで精巧なおもちゃのように見えました。ですが、彼にはその輝きがとても美しく見えたようです。
「お兄ちゃん……ありがとう……」
伊織は目に涙を浮かべて指輪を見つめました。私はそんな彼を優しく抱き寄せると耳元で囁きます。
「愛していますよ伊織」
私の言葉を聞いた瞬間、彼は堰を切ったように泣き出してしまいました。私はそんな伊織の頭を優しく撫でてあげます。そして泣き止むまでずっと抱き締め続けたのでした。