第2章 ハンバーグ記念
「え、トラウマ……?」
落ち着いてから私がハンバーグの話をすると、ぼんさんは驚いた顔をしていた。それもそうだろう。前の彼氏にフラれた時に食べていたハンバーグがトラウマなんて、誰もがびっくりする。
「すみません、だからまだちょっとハンバーグ食べられないかもで……」
「あー、そっかそっか。それはつらかったね」
と私の背中をまたさすったぼんさん。この人の言葉や声は、優しく包まれるみたいで安心する。
「これは俺が食べとくよ。俺のためにありがとね」
「いえ、そんな……」
初っ端からこれだなんて、私全然ダメだなぁ。
見るとぼんさんはいつの間にか全部ハンバーグを食べ終わっていた。綺麗な食べ方だ。というか箸の持ち方も綺麗だった。ハンバーグじゃなかったら、もうちょっと眺めていたかった。
あと、普通にハンバーグは食べたい。
ハンバーグは私の大好きな食べ物の一つだった。一口だけでも食べられたら、トラウマなんてなくなるかもなのに……なんて目の前のハンバーグを睨みつけて思いついた。私のワガママだ。