第12章 シーン9
子供の頃の話ってなるとつい長くなるよね。他にもいっぱいあるけれどそれを書いちゃうと紙がいくらあっても足りなくなるからやめとくね。
私がこうやって手紙を裕香ちゃんに出したのは他でも無く私が裕香ちゃんに伝えたい事があったからです。
今まで私は裕香ちゃんと一緒にいて、居続けて、高校も同じで一緒に居て、私にとって裕香ちゃんは初めての友達で、ずーっとずーっと一緒だと思ってたんだ。裕香ちゃんはいつでも居るって感じでさ。
でも私たち卒業すれば別々になっちゃうよね。進路も違うし。
私はそれが分からなくて、裕香ちゃんがどこか遠くに行ってしまうというのが分からなくて、考えても考えても分からなくて、どうしていいのかわからなくて、卒業が私たちを裂くのならば、その前に死んでしまおうと思ったんだ。
ねえ、裕香ちゃん。好きだよ。
絶望的に好き。
友達の好きなんかじゃなく、本当に好きなんだ。
裕香ちゃんにとって私はただの友達かもしれないけど、私にとって裕香ちゃんは特別に好き。卒業が私たちを引き裂くのならこの幸せのまま死にたい。そう思って私は卒業式の前に死ぬことを選んだんだ。こんな形での告白は卑怯かもしれないけれど、裕香ちゃんならこれまでもこれからもただの友達でいようと言うだろうから死ぬことにしました。
気持ち悪いって思うかもしれないけれど、思ってるかもしれないけれど、私には告白する事なんてできなくて、こんな形でしか伝えられなくて、ごめん。
ごめんね。