第1章 ドッキリ大作戦!
【マルコの場合】
ふうっ!これで準備はOK!万全の体制を整えた私は後ろで何やら作業しているマルコに声をかけた。
「マルコさんや、ちょっとここに立ってくれんかね?」
「…その喋り方は何だよい。」
シャラァプッ!そんな事はどうでもいいの!くるりと振り返ったマルコに手招きすれば、怪訝そうな顔で近付いてくる。
「壁を背にして立ってほしいよい!」
「…真似すんな。」
おう…よいが無くなったよい…。早くと急かす私に渋々ながらもマルコは言う通りにしてくれた。
「わぁ〜!マルコと同じ目線だぁ!」
「…何がしたいんだよい。」
踏み台に乗っている私は今、マルコと同じ位の高さ。目線が変わるだけでいつもの景色が違う様に見える。
「んじゃ、私と同じ事してね!」
「…よい。」
まずは片手を伸ばして、もう片方も伸ばして〜。そんでもって手を組んで片手だけ開きます!
「とりゃっ!」
「ぅおっ?!」
開かれた片手に両手を絡ませ勢い良くマルコの頭上に押し付けた!
「…何の真似だよい。」
「壁…ドン…!」
ヤバい…距離感間違えたっ!思ったよりマルコとの距離があり私の足はプルプルと震えている。
「壁ドンねぇ…。」
ふ〜んと興味無さ気なマルコの反応はどうかと思うけど早いとこ下りないと私の足が死ぬっ!手を離し踏み台から下りようとした時、くるりと視界が反転した。
「壁ドンてのは…こうやるんだよい。」
「っ!」
顔の横に置かれた手。身体全体で逃げる事を許さないとでも言う様に覆い被さるマルコは悪どい笑みを浮かべ私を見下ろす。
「…こ…。」
「…こ?」
ドクドクと胸が早鐘を打ち猛禽類の様な鋭い瞳から逸らせずにいた私の瞳からポロリと何かが零れ落ち、それを目にしたマルコはぎょっと仰け反る。
「っ殺されるかと思ったぁ〜…!」
「おっおいっ?!」
ボロボロと涙を溢す私にさっきまでの雰囲気が嘘の様にマルコがアタフタと慌てている。私の泣き声を聞きつけ部屋に飛び込んできたエース君や隊長さん達。そして私を泣かせたと彼等から聞いたオヤジさんからマルコがこっ酷く怒られたのはまた別の話。
検証結果…命の危険を感じました。