第1章 召喚
「なんと!今回は豊作じゃ!」
「これだけ人数がいれば一人は聖女がいるかもしれませんね!」
白ずくめのローブを頭からすっぽり被っている老人たち。大きなステンドガラスと長いテーブルは大きな教会内のようだ。
私は大きな召喚陣の上にいた。白い集団を見つめていると彼らの近くに座っていた女子が戸惑いながら声を上げた。
「あの!こ、ここはどこですか?」
女子は金色の髪にアイドルのように可愛らしい顔をしていた。制服のスカートは太ももが見えるほど短く若さが溢れている。老人達は彼女を見て美しい美しいと口々にいった。
「ご安心ください。我々は魔王を討伐する勇者のパートナーにあらせられる聖女を探しているだけなのです」
「せ、聖女?」
「言葉が分かるのですか?おお!なんと素晴らしい!言葉が分かるということは神の加護があるということ!つまり聖女様であらせられるかもしれません」
老人は女子に手を伸ばし立ち上がらせる。そのままエスコートして隣の部屋へ移動してしまった。すると白い集団から一人前に出てきた。
「危害を加えるつもりはございません。どうぞお立ちください」
フードを脱ぐと優しそうな顔をした老人が微笑んでいた。しかし立ち上がったのは女性と二人の男性だけ。他の人達はキョロキョロと周りを見回していたり老人をじっと見つめていたりなぜか立ち上がらない。
「何を言っているの、あの人たち」
隣の女性が困惑したように呟いた。同じ言葉を喋っているのに意味がわからないというの?
「3人だけですか…シロあとは頼みますよ」
老人達は3人を連れて隣の部屋へ移動してしまった。一体何が始まるんだろう。一人だけ残った人物は一歩前に踏み出すと懐から短剣を取り出した。
「さようなら」
老人かと思ったら若い声で一言いうと魔法陣の中へ入り男の腹を突き刺した。悲鳴が聞こえる。うずくまる男を何度も刺すシロ。残りの4人が弾かれたように立ち上がり陣を出ようとするが、バチッと弾かれて陣の中へ戻ってしまう。
「いやぁ!助けて!」
シロは女の髪を掴んで首を切る。男の手を掴んで腹を突き刺す。目の前で次々と死んでいく。そして陣が真っ赤に染まる頃には私だけが残った。
『ど、どうして…こんな残酷なこと』
「…貴様らが神の加護を受けてないマガイ者だからだ」
『マガイ者?』
返事を返すと男は固まった。
