• テキストサイズ

I'll always be with you【アイナナ千】

第20章 ファーストキッス!




「こんなに緊張して、ほら、リラックスしてください」
「そんな...無理だよ」
「可愛いひとですね」
「初めてだから」
「知ってますよ。君のファーストキスを僕に下さい」
そっと顔を近づけ、目を瞑る二人。





『うわあああああっ!!』
「う、急になに?」

思わず千さんに抱きつく。

『やばい!見てるこっちが照れる!!』
「はあ、苦しいから離して」
『ひどい!』


アイナナ一織くん主演の学園恋愛ドラマ。
初恋がテーマでウブな二人の恋愛模様がとても話題だ。
私も毎週楽しみにしており、今日は千さんとリビングで観ていたのだ。


「里那はこういうのが好きなの?」
『好きだよ〜、憧れる』
「僕もやろうかな。学園恋愛モノ」
『はははっ、千さんが学園モノ?!むりむり、出来て教師役だって!』
「君が、こういう男が好きって言ったんだろ」
『男の人というより...こういう青春のような、甘酸っぱい経験が無かったから憧れるの』
「ふうん。君は昔から男っ気がなかったからね」


誰のせいよ。
私だって全くモテなかった訳じゃないんだけど。
それなりにかっこよくて学校で人気な男子に告白されたことだってある。
でも、千さんを諦められなくて、そういう類の話はお断りし続けてきた。


「ねえ、里那のファーストキスっていつ?」
『はいっ?!』
「流石に男っ気なくても、一人や二人はそういうのあったでしょ?」
『え、千さん以外ないんですけど?』
「は?」
『ん?』

数秒の睨み合い。
お互い、信じられないという顔だった。

「僕だけ?」
『そう。だから、ファーストキスも千さんだよ?』
「へえ、20歳の時?」
『え、19歳だったけど』

あの出来事は忘れもしない。

「初めてお酒を飲んだ時だろう」
『その時、キスなんてしてないでしょ?』
「ああ、そうか、里那は記憶がないから。君が強請ったんだよ」
『そんなの知らなかったんだけど?!』
「まあ、言ってないから」
『うわ、え、嘘』

お酒を飲んで酔ってる間に、私が千さんにキスをせがんだ。
衝撃的すぎる。


『いや、待って!それがあったとしても、私の初めてのキスは19歳になったばかりの頃だよ。覚えてない?』
「僕とキスをしたのか?」
『そう。まだ千さんが百くんと暮らしてた時だよ』
「全く覚えてない」

/ 112ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp