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I'll always be with you【アイナナ千】

第19章 Re:member




私は、お兄ちゃんになるという千さんの言葉に、その日から悩まされた。

千さんは今までも優しかったけど、さらに優しく過保護になった。

以前は、私から連絡を取って二人に会いに行くことが殆どだったが、千さんから家に来る?と誘われるようになり、私の仕事が忙しくてなかなか行けない時は私の家に来てくれた。
百くんもとっても優しい人柄なため、千さん程ではないが心配してくれて、私を笑わせて元気づけてくれた。


本当に妹のようになっていく現実に、嬉しいような哀しいような不思議な感覚だった。
守るべき対象から脱却すれば、妹じゃなくなるかと思って、二人に内緒で何回かコンサートに行くことをチャレンジした。
だが、そのどれもが失敗に終わった。


千さんに心配をかけまいと、知り合いのスタッフさんに協力してもらって隠れてコンサートに行ったが、結局体調を崩したのがバレた。
怒られるというより、ひどく心配されてしまった。
二人に心配をかける自分が嫌で、挑戦しようとする気持ちはいつからか無くなった。




私は自分のトラウマに蓋をした。


二人は優しいから、絶対言わないけど。

私は二人の邪魔者になっていないか?

何度も自問自答した。



私が本心では二人のRe:valeを受け入れてないかのようにも感じるし、新しいスタートを切って歩みを進めてる二人の足を引っ張っているような存在になっている。



二人のRe:valeを認めてないから見れないという真実にしたくなくて、他のアーティストのコンサートも避けた。

路上ライブすら、見えないよう聞こえないように逃げた。



私の心の奥底に眠ってるかもしれない汚い感情をトラウマとコンサート共に厳重に鍵をかけた。


それと同時に、千さんの妹として生きるのを受け入れた。



これは、罰なのかもしれない。

二人の邪魔者かもしれないのに、ずるく側に居続ける私への。




私はこのまま居続ける以外、選択肢はないのだ。

それなら、罰すらも利用させて頂こう。



でも、お願いだから、このままでいいから。



千さんの側に居させてください。



架空の千さんの手を心の中で握り続けたまま、ひたすらそう願っていた。



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