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I'll always be with you【アイナナ千】

第18章 コンサートには愛がいっぱい



「ねえ、教えてよ。折笠千斗じゃなくて、アイドルのユキのどこが好きなの?」
『え、言わなきゃだめ?』
「僕の機嫌をとってよ」


さっきまで不満そうな表情をしてたのに、今は意地悪な含み笑いをしている。
イケメンなその顔に免じてユキの魅力を教えてあげよう。


『ユキは紛れもないスターなの』
「スター?」
『そう。初めて観た日、観客や周りなんてどうでも良いかのように、ひたすらギターを弾いて歌う姿に目を離せなかったよ。無愛想だ!て言う人も居たけど...』
「それで?」
『こっちを見てくれないアイドルなのに、虜にしちゃうって、スーパースターにしか無理でしょ?』
「ふふっ、それは知らなかった。僕はスーパースターだったのか」


千さんは笑っている。
私のスターの話を笑うな!と思うけど、スター本人なんだよな。


『そんなスターが、ある日から笑って、ファンサまでくれるようになったの。もう、心が掴まれて一挙手一投足から目が離せなかった』
「バンやモモが隣にいたのに?」
『うん。バンもモモちゃんも好きだよ?でもね、つい目で追っちゃうのはユキなの』
「ありがと。言われて悪い気分しないね」
『はあ、千さんもユキのファンサを受けてみればいいよ。そしたら、私の言ってること分かるよ』
「ふふっ、無理言わないでよ」

あの心を掴まれる感覚は、生きててそう感じられるものではない。


『コンサートの時だけは、一人のファンとして全力でユキの名前を呼んでる』
「そう」
『千さんの側にはずっと居たけど、ユキには久しぶりに会えたから、あの日は最高だったよ』
「ねえ、里那。ツアーの追加公演決まったから、また見に来てよ」


珍しく照れたように笑ってから言った。
千さんにとって愛の溢れたお誘いだと聞いた後だったから、より特別甘く感じた。


『うん、行きたい。必ず見に行くね』
「里那が客席のどこに居ても、多分見つけられる」
『ええ、流石に』
「僕は本気で言ってる」
『千さんにバレたら嬉しさもあるけど、なんか恥ずかしくなりそう』
「全力で名前を呼んでくれるんでしょ」
『うん、呼ぶよ?』
「ふふっ、楽しみにしとくね」



Re:valeのコンサート当日。
千さんは3曲目ぐらいでアリーナの端の席にいた私を見つけた。
ユキを前にしたら恥ずかしさよりも推しへの愛が勝って、沢山声援を送った。
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