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I'll always be with you【アイナナ千】

第13章 コンサート




立ちあがろうとした時に、お兄ちゃんが体をそっと支えてくれる。


『ありがとう』
「もう大丈夫?」
『うん!これが二人のコンサートなんだね』
「かっこいいよね」
『うん、とっても』


画面越しでは分からなかった。

綺麗なサイリウムの海に、ファンの熱狂の声。
こんなに二人がキラキラと輝いて見えるなんて。


ピアノとサックスの音から曲が始まる!

百くんがセンターステージに歌いながら走ってくる。
その後を続いて千さんが優雅に手を振りながら歩いてくる。


最高にかっこいい!
楽しい!



千さんが私の目の前に花道を通った時

『ユキ〜!!!』

思わず声に出して名前を呼んでいた。



その瞬間、反対側を向いて歌っていた千さんが、こちらをぱっと振り返る。


目が、合った、、?


たったの数秒のことだったと思うけど、とても長く感じた。


千さんも珍しく驚いた表情をしていた。


すぐにアイドルスマイルに戻り、左手をゆっくり口元に持っていく。


心がグッと掴まれて、目を離せない。


その手を優雅にこちらにのばす。




な、投げキッス?

今の、え、?!

アイドルのユキ、かっこよすぎるんですけど...



なんか良く分からないけど、私の目から涙が溢れていた。
でも、口角は上がっていて、なんだこれ。


周りのファンの女の子たちも、私に向けてやってくれた!目合ってた!やばい!ユキのファンサ!!とザワザワとしていた。



「千、里那のこと気づいたね」
お兄ちゃんが私の耳に顔を近づけ言った。

私もお兄ちゃんに、こそこそ話するように耳に手を当てる。
『ユキ、イケメンすぎるよ』

お兄ちゃんと目が合うと、どちらからともなく笑った。



その後のコンサートはファンの1人として、存分に楽しんだ。

コンサートの途中に、百くんが指差しからのハート、投げキッス、ウインクという盛り沢山な熱烈ファンサをこちらにくれた。
恐らく舞台裏私たちがいることを千さんに聞いたのだろう。
流石にやりすぎだ!って、お兄ちゃんと爆笑した。



笑って、感動して、歓声を送って

楽しい時間はあっという間だった。

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