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I'll always be with you【アイナナ千】

第11章 譲れない想い




千さんのキャンペーンは続いていた。
一ヶ月ぐらいで終わると思っていたのに、二ヶ月近く続いている。


千さんとはラビチャの連絡はよくするが、なかなか会えない日々が続いていた。
年始の忙しさに続いて、全国ツアーと主演の連続ドラマの仕事が重なっているのだ。
たまにかかってくる電話の中で、忙しさからなのか、僕がもう一人いれば全てうまくいくんだけどね、と実現無理な事を呟いていた。
千さんが二人もいたら困る。
きっと、お兄ちゃんですら手に負えない。


【明日の夜、僕の家来れるよね?】

千さんから昨日届いたラビチャ。
やっと、仕事が落ち着いたのだろうか。
久しぶりに千さんに会える。






『千さん、生きてる〜?』

リビングに入るとソファに、だらんと横になる千さんの姿があった。

「死んでる」
『あはは、忙しかったんだね。お疲れ様』
「今日は、里那が癒してくれるんだろう」

千さんが顔だけ上げて言う。

『はいはい。ご飯まだでしょ?適当に作るよ』
「ありがとう。少し寝るから出来たら起こして」

千さんはそう言った側から電源が切れたように寝始めた。


冷蔵庫の野菜室を開けると、大量の野菜が入っている。
レシピを頭の中に思い浮かべていくつか取り出す。
まずは蓮根から刻んでっと...お疲れ様の気持ちを込めて、料理を作った。



『千さん、できたよー!』

キッチンから声を掛けても、起きる気配は全くない。
千さんは正直寝起きが悪い。
声を掛けるだけじゃまず起きない。
特に疲れてる時は充分寝れないと、寝起きがとっても不機嫌だ。


どうしよう。
疲れてるだろうし、寝かしておいてもいいんだけど...。


ソファの横に座り、すやすやと眠る千さんの顔を見る。

寝ている顔を見ていると、本当に美人な顔をしている。
さらさらな銀髪、長いまつ毛、色気のある泣きぼくろ、ずっと通った鼻筋、綺麗な顎のラインから、意外と男らしく出ている喉仏。
性格は難ありな部分あるけど、見た目は精巧なお人形のよう。お人形より女神っぽい感じ?

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