I'll always be with you【アイナナ千】
第10章 初詣
「そんなに好きなのに、里那さんは、どうして気持ちを伝えないんですか?」
『...!』
「ユキさんの告白を断ったんですよね?」
『え、ええ、話広まってるの?噂で流れてるの?!』
「大丈夫ですよ!たまたま万理さんが電話している所に遭遇して、内容から察しただけなので、心配してるようなことは無いです」
それを聞いて一安心。
千さんのスキャンダルには、もう絶対ならない!と心に誓ったのだ。
千さんと離れなきゃいけない要素はとにかく排除したい。
「僕は里那さんをよく見ていました。だからユキさんの話になった時、とても嬉しそうに話す姿に薄々気づいていたんです」
『そんな分かりやすかった?』
「ふふっ、はい。忘年会でユキさんも同じように想ってるのが分かった時は驚きましたけど」
『その節はごめんね。忘年会びっくりさせちゃったよね』
「いえ、実は、感謝もしてるんです」
『え?』
「今言わないと伝えられなくなるかもと思って悩んでいたら、環くんが背中を押してくれました。振られることは分かってましたが、伝えられて良かったです」
壮五くんは嘘をついている感じはなく、清々しい。
『そっか、壮五くんは凄いな。それに良いコンビだね』
「自慢の相方です」
『ふふっ、いいなぁ』
「里那さんにも何か事情があるかもしれませんが、すれ違う前に伝えた方がいいと思います!」
『そうなんだけどね...自分が伝えることよりも、守りたいものがあるの』
「...僕も伝えることが苦手でした。どうしたら環くんのためになるんだろうって考えて、うじうじしていた。でも、答えを出さずにそのまま話しても大丈夫だって知りました。考え込まずに話し合うのが一番でしたよ」
壮五くんの純粋な瞳は、私のために話してくれてると分かる。
その切実に伝えてくれる言葉は、千さんの言葉に逃げているようでもある私に深く突き刺さる。
「あ、、出過ぎたこと言いました」
『ううん、ありがとう。想いを伝えてくれて、励ましてくれてありがとね』
私も、今日の壮五くんのように、想いを真っ直ぐと伝えられる日がくるのだろうか。