I'll always be with you【アイナナ千】
第10章 初詣
新年、環くんからラビチャがきた。
【この日午前オフなんだけど、初詣いこーよ】
メッセージには書いてないけど、恐らく壮五くんと三人で行こうという事だと思う。
初詣の三が日とは時期がずれてるけど、私も一人で人混みの中初詣に行くつもりはなかったし、行こう!と返信した。
環くんと壮五くんと会う時は、大体車で迎えに行くことが多いが、今回は現地集合でという事だった。
集合時間は朝早めの時間。
マフラーなど防寒をしていても、風が吹くとぶるっと体が震えるような寒さの中、駐車場から歩いて神社を目指す。
初詣シーズンを過ぎた神社は、人が殆どいなくて、静けさと神聖さがあった。
鳥居の前にいる眼鏡にマスク姿の男性。
あれは、きっと壮五くんだ。
変装していても、芸能人オーラみたいなのを感じる。
それに壮五くんは佇まいや姿勢、所作が綺麗で遠くからでも何となく分かる。
こちらに気づくと小さく手を振ってくれる。
あれ?
隣にいるはずの身長の高いもう一人の姿が見えない。
『壮五くん、お待たせ』
「僕も今来たところなので、気にしないでください」
笑顔の壮五くんはマスクをしてても癒し効果がある。
『環くんは?』
「実は...今日は一緒じゃないんです」
『え、年末年始忙しかっただろうし、体調崩しちゃった?』
いつも会う時は二人一緒に会ってたから、壮五くんが一人でいるのが違和感。
「いえ、違うんです!」
食い気味に否定する壮五くん。
『そ、そうなの。それなら良いよ』
「あの、、、」
壮五くんの目が不安気に泳いでいる。
何かを話そうとしている。
『うん、どうしたの?』
「...そ、それも含めてあとで話していいですか?」
『いいよ、いつでも聞くよ』
「ありがとうございます」
お参りいきましょうか、と促されて、私は壮五くんと鳥居をくぐった。
お賽銭を入れてカランカランと鈴の音を鳴らす。
パン、パチン‼︎
私の願い事を二拍手にこめる。
Re:valeが今年も元気に楽しく活動続けられますようお願いします。
千さんの近くで見守っていられますように。
隣を見ると目を瞑り、長くお祈りをしている壮五くん。
アイドリッシュ7の人気は凄い。
ファンの前で、にこにこと穏やかに笑ってる壮五くんの内側には、色々と抱えてるものがあるのかな。