I'll always be with you【アイナナ千】
第6章 哀しみとエトセトラ
「ユキに怒ってる?」
『最初は怒ってたんだけどね。最後の言葉で怒りなんてどっかいって動揺だったよ。これ以上千さんと居たら、私が崩れると思って逃げてきちゃった』
「その覚悟はさ、ずっと守らないといけないの?」
『お兄ちゃんが居なくなった時に、私は千さんの前から居なくならないよって口約束したの。千さんは、兄になってあげるって言ってくれて...この関係が変わったら約束を守れなくなっちゃう気がする』
千さんと私の関係値は今が丁度いいのだ。
私が気持ちに重い鍵をかけていれば、ずっとこのままでいれると思うんだ。
「オレはさ、ユキに弱いから、意見が食い違う時に結局ユキに付いていっちゃう事が多いんだよね」
『うん』
「でも、オレにも譲れないものがあって、その時は喧嘩してさ。それを乗り越えた時は、よりお互いのことが分かって、仲が深まったと思う」
『お互いを想ってるから生まれた大切な喧嘩だったんだよ』
「里那ちゃんはユキと喧嘩した事ないでしょ!」
『うーん...喧嘩っていう喧嘩はないかな?』
「多分、ユキと言い争ったことないの里那ちゃんだけだと思う。あの口下手なユキとずっと仲良くやってこれたのって凄くない?!だから、一回ぐらい喧嘩しても良いんじゃない?」
私が千さんに怒った事はある、逆に千さんが私に怒った事もある。
でも、どちらも喧嘩にはならなかったんだよね。
今回も千さんは私が怒ってるって勘違いしてそうだけど、もう既に私は怒ってない。
多分、今すぐに千さんに連絡したら仲直りできるだろう。
でも...私が譲れないものって何だろう。
『百くんありがとう、本当にありがとう。頭の中ごちゃごちゃしてたんだけど、自分の譲れないものが分かったよ!』
「ほんと?それなら良かった!ユキのこと、よろしくね」
『いや、それは私の言葉かも。多分、千さんと喧嘩する事になるから!百くんに迷惑かけちゃったらごめんね?』
「ええ、困るなぁ〜、だから早く仲直りしてね!モモちゃんラブアンドピースが好きだから!また何かあったらいつでも連絡して」
『ありがとう。年末の仕事忙しいと思うけど頑張ってね!』
百くんの電話で改めて決心できた。
それにしても、百くんは凄いね。
ちょっとの電話だったけど元気を貰えたよ。
根っからのアイドルだ。