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I'll always be with you【アイナナ千】

第5章 後の祭り 1000side



『ごめんなさい。この場はこれで収めて、お引き取りもらえませんか?』

女は落ち着かない様子で、逃げるように去っていった。


『千さん』

こちらに振り返った里那は、左頬が赤く腫れ、口の端から血が垂れている。
ただただ痛々しかった。


『もう、やめてください。彼女を作るのは勝手ですが、オトモダチと彼女の関係をいい加減に混ぜこぜにして付き合うのはやめてください。オトモダチならオトモダチとはっきり分かるように接してください。好きだと勘違いしてしまうものなんです。ちょっとの事でも!もし、それが分からないというなら、苦しみの捌け口を女性にしないで下さい!』

里那は畳みかけるように言った。


彼女は怒っていた。
女に叩かれたことじゃなくて、僕に怒っていた。
初めて見る彼女の姿に圧倒されて、ごめんね、と自然と口から溢れた。


『ちょっとでも反省したならいいです。この話は終わり!』
「...痛かったでしょう」

僕は彼女の口の端を手を伸ばし、親指で血を拭った。

『あはは、、まあ、ヒリヒリはするけど...うーん、正直痛かったです』
「そう。今日のご飯は僕が作るよ」
『え?千さんが料理?!それは楽しみ!』

彼女はもう気にしてないかのように笑った。


その後、里那の顔を見た万に一晩中叱られた。



万に叱られたからとか、里那の言うことを完全に理解したわけじゃないけど...里那の痛々しい姿はもう見たくないと思って、それ以来、彼女という言葉は軽々しく言わなくなった。
自称彼女は沢山現れたが。
女性と関係を持つことに慎重になったと思う。




あの時の里那は怒っていたが、それは分かりやすく激しく僕に感情をぶつけていた。

こんな風に冷たく拒絶されるのは初めてだ。

里那は全て受け止めてくれてたから。

万と組んでいた時も
万が居なくなった時も
モモと歌い始めた時も。

一歩引いたところでずっと居てくれたから。



こうなってしまった時、君とどうすれば良いか分からないよ。

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