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I'll always be with you【アイナナ千】

第22章 先輩な一面




その後は演技の話をすることなはなく、アイドリッシュ7、Re:valeの楽しい思い出話をした。
二階堂さんは有難うございました、と言って帰った。


『ふふ、二階堂さんいい人だね』
「可愛い後輩だよ」
『これからは、来客が来る時は外すから必ず連絡して下さい!』
「僕が里那と会いたかったんだ、だめ?」
『はあ...二階堂さんは私がいても話してくれたけど、話しづらかったと思うよ?』
「まあ、僕に来客なんて殆どないから」


千さんは悪びれる様子もない。
まあ、今回だけは許そう。

かっこいい先輩姿を初めて見た。
透明人間役なんて知らないと言いつつ、あれは千さんなりの大和くんへのアドバイスであり、期待が込められていたと思う。
千さんは分かりにくい部分があるけど、周りの大切な人たちを放っておけない優しい人なのだ。


「なんで機嫌良さそうなの?」
『千さんの先輩姿を初めて見たから、良いなと思ってただけ』
「後輩には優しいからね」
『いい先輩してるんだね。私も可愛がられる後輩気分を味わってみたかったよ』
「里那は充分に可愛がってる。それに、甘いでしょ?」
『ええ、そうかな?』
「たまに意地悪したくなるけど」
『え?わ、、ちょっと』


千さんに後ろから急に抱きしめられて、よろける。
抱き止めてくれているから、転ばないがびっくりした。

『もう、急にはやめてよ』
「したくなったから」
『耳元で喋らないで〜』
「耳が近くにあるから」


千さんの声が耳の近くで囁かれる。


「ねえ、今日すごく会いたかったんだ」
『そ、そうなの?』
「ああ」
『私も会える日は毎回嬉しいよ』


チュッ...

右耳に温かい感触と響くリップ音



「後輩に接する時の先輩面じゃなくて」
『うん...』
「里那にしか見せない顔もあるよ」


千さんの顔は見えない。
どんな表情をしてるのか、想像できない。
でも、背中越しでも、いつものテレビのユキとも、家でリラックスしてる千さんとも違う顔をしてるのが分かった。



「見たい?」
『見たいよ...』
「そう、また今度ね」
『なっ!』


お腹に回された手がゆっくり離れていき、千さんは何事もなかったかのようにキッチンに行ってしまう。


私の背中には、千さんの熱が残ったままだった。

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