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愛が禁じられた世界で[dzl]

第2章 ドズル一行


「ドズルさん〜、まだですか」
 砂漠を横切るように歩くとある一行の一人が、上着をだらしなく羽織ったままヘロヘロと歩いてる。
「おかしいな……もう少しで大きな街に着くんだけどなぁ」
 ドズルと呼ばれた赤ズボンに半裸という姿のまま一行の先頭を歩く彼は、ポケットの中身を漁っている。と、ポケットから一枚の紙がひらりと落ち、それを後ろにいた小柄な男性が拾った。
「ドズルさん、落ちましたよ」
「ああ、ありがとう、おんりー」
 小柄な男性、おんりーはそう言ってドズルに落とした紙を渡した。ドズルは紙を受け取り広げる。どうやら地図のようだ。
「やっぱり、道は確かにこっちだよ。ぼんさん、もう少し頑張りましょ」
 地図を見直したドズルはさっきから文句ばかり言ってるヘロヘロ歩く男性、ぼんにそう言って励ました。ぼんは上着もちゃんと腕を通さないまま、分かった分かったと呟く。
「ぼんさん、頑張りましょ」
 と白い髪の男性がにこにこ笑いながらぼんと並ぶ。明らかに彼の方が疲れていそうなのだが、この一行の中では誰よりも明るいおらふくんは、みんなの癒しのような人だ。
「おらふくん、大丈夫か? 荷車に乗っててもいいが」
 と言ったのは、一行の荷物を荷車で引いている彼……MEN。ネコおじはその荷物の上でのんびりとアクビをしたが、おらふくんはMENに何か疑う目を向けた。
「え、MENがそんなこと言うなんて」独特な訛りのある話し方でおらふくんは言う。「ぼんさん、最近MENが優しいんすよ。変ですよ」
 急に話を振られてぼんは一瞬驚いたが、おらふくんの言葉に同意を抱いたようで。MENの方を振り向いた。
「MEN、どうした? なんで優しいんだ」
 とぼんも言って。
 MENは軽く笑い、つられてドズルもゲラゲラ笑った。横でおんりーもくすりと笑いながら、ネコおじは、これがMENの素なのだということを知っていた。一匹で彷徨っていた自分を拾ってくれたMENも、そして、こうして法を破ってまで「愛」を振り撒くドズル一行のメンバーも、ネコおじは心から優しい人間だと知っていたし、心地がよかった。
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