第8章 思わぬ事態
「愛という病気を広めている不届き者め!」
「ようやくドズルの仲間を捕らえたぞ!」
よく見なくてもネコおじは分かった。王国の兵士たちだ。
「みんな……!」
ごめんと言いたげに、頑丈そうなオリの中にしがみつくおんりー。王国の捕獲道具は最高クラスで、投げる時は網のように、中に誰かを捕まえるとあっという間にタイヤ付きのオリになるという恐ろしいものであった。
「おんりーを離せ!」
筋肉自慢のドズルがすぐに飛び出そうとしたが、待て待てとぼんが引き止める。
「今飛び出したら相手の思うツボだぞ……!」
「だけど……!」
それはぼんの言う通りなのかもしれない。兵士たちは自分らに追撃してくる気配がないのだ。怒り任せで飛び込めば、捕獲道具の範囲に入ってしまうかもしれない。
「おんりーを離せ!」
ならばと弓矢をつがえたのは他でもない、おらふくんだった。おんりーを捕らえているオリに見事矢が当たるが、壊れる気配はない。その内、敵から掛け声が聞こえた。
「弓兵、用意!」
「ちょ、マズイよマズイよ!」
兵士が攻撃を仕掛けてくるのだろう。ネコおじは巻き込まれないように騒ぎ出したぼんの肩からぴょんっと飛び下りた。ねぇ、逃げようよ? ネコおじは四人の足元でウロウロした。