第7章 囚われのお姫様
ーーーー数分前。
「…ザ・地方だな。大きくもなく小さくもなく…」
「雰囲気は好きだ。ムカツクぜ!!」
泥花市を一望できる丘へ転送してもらった敵連合の一同。
そこから街並みを眺めながら思いおもいの言葉を口にするスピナーとトゥワイス。
その横で死柄木は手始めとばかりに身体を傾け、腕を伸ばしてストレッチをしたりしている。
「…あと1時間40分で目覚めたマキアが
死柄木を追ってこっちに来れば解放軍と衝突。
互いに自滅して俺らの勝ちだ…。
その間に何としてでもちゃんとブローカーを
助けねェといけない…。
…けど、そこまで持つかァ?俺ら…。」
山吹色のロングコートから懐中時計を取り出し、仮面を外して呟けば茶色の瞳を伏せるコンプレス。
「…ったく。が攫われたって
どういう事だよ?
ブローカーまで捕まっちまったって…
何、面倒事に巻き込まれてんだよ、アイツ…。」
「おまえの大切なが攫われたんだぞ!!
それにおまえも義爛に紹介して
もらっただろ!?」
「…あぁ、だから助けに来ただろーが。
俺はを連れ戻す。
トゥワイスは義爛の事だけを考えてろ。」
「……!誰か来ます!」
トガの言葉に荼毘、スピナー、トガが臨戦態勢をとる。
「ストーーーーーップ!!
私は案内役を仰せつかった者!!
解放軍指導者と話したければ
私について来たまえ!!」
「……ヒーロー…!?知らんやつだが…。」
突如現れた名も知れぬヒーローにスピナーが怪訝そうに呟く。
「……人がいねェ……。」
先程のヒーローに連れ立って泥花市内を歩く敵連合だが、コンプレスが呟いた通り、そこには人、ひとりっ子としていなかった。
ふと死柄木が視線を上に上げると、屋根からこちらを監視するかのようにヒーローが佇んでいる。
「…なるほどね…。この町全部…「その通り!」
死柄木の言葉に被せるように言葉を放つと前方から人がやってきた。
すると案内役のヒーローがスーー…ッと横に捌ける。