第1章 過去、そして出逢いへ
これまで何不自由なくここまで育ててくれた義爛に恩を感じているは義爛の仕事の邪魔にはなりたくない、自分がこの敵連合で役立つと言うならば義爛の為にも役に立ちたいと思う。
『ぁっ、あのぅッ…死柄木さん、
私がこの敵連合でお役に立てるなら…
皆さんのお役に…義爛おじさまのお役に立てるの
ならば此処に私を置いてください…っ。」
コンプレスからもらったお花を両手でギュッと胸の前で握りながらガバっと頭を下げてお願いをする。
の勢いに一同が少し驚くもこの案件は敵連合にとっては良い話に間違いない訳で。
「あぁ…いいぜ。
回復系のレア個性なら大歓迎だ。」
そう言うと顔に付けていた手を取り除くと、ガタッ…とカウンター席から下りるとポケットに手を突っ込みながら猫背で近づいてくる。
そしてそっと人差し指だけ浮かしながら栗色のふわふわの髪を撫でるようにポンポンと優しく触れてくれた。
心地よい低音の声に、髪に触れる思いのほか優しくて大きな手にふと、顔を上げると整った紅い瞳の彼と目が合うと意外と近い距離にドキッ…と少し胸を高鳴らせる。
「ありがとよ、死柄木。
こいつの事頼んだよ。
じゃあ俺はまたこれから仕事に向かわなきゃ
ならねぇからこれでお暇しとくよ。
じゃあな、」
『…義爛おじさま…っ』
栗色の頭を人撫でする義爛にしばらく会えなくなるかと思うと急に寂しくなり、そっと胸元に寄り添い別れを惜しむ。
「なぁに、またすぐ会えるさ。
そんなに寂しがるな、俺まで寂しくなるだろ?
ほら、顔上げろ…」
長いまつ毛を伏せ寂しさで俯くの頭をもう一度優しく撫でてやる義爛。
『たまにはお顔見せに来てね?
…必ずよ?絶対よ?』
「あぁ、わかったわかった。
定期的に顔を覗かせに来るから…
そんなにせがむな。」
『…義爛おじさま大好き…っ。』
もう一度、ぎゅうっ…と義爛に抱きつく。
そしてカランッカランッ…と小気味良い音を鳴らして出て行った義爛の後ろ姿を見送る。
こうして運命のいたずらに踊らされたは彼ら、敵連合と出逢ったのであった。