第1章 純情恋物語編
雅吉はそう言って剣を肩に担ぐと、ニヤリと笑った
雅吉「だからよぅ、ココのお家の若様が、己の保身の為に妹の姫をとっ捕まえてどうにかしちまった
…なぁんて噂が立っちまうコトも、あるんじゃなぃのかぃ?」
若様「Σな、なんじゃと!脅しておるのかっ!!」
雅吉「脅してる訳じゃあねぇぜ?そんな事もあるかも知れねぇって言ったまでさ
まぁ、人の口に戸は立てらんねぇって言うがなぁ」
若様「うぅ、くそっ……じゃあその口二度と利けない様にしてくれるっ!!
皆の者、くせ者じゃっ!!であえっ!!」
若様は立ち上がって大声で喚いた
(しまった!流石に人を呼ばれては…)
焦って雅吉に駆け寄るあたしを、若様が捕まえた
にの江「何すんだぃ!お放しっ!!」
若様「にの江はぼくの側室になれ!やっぱお前がいちばん好みじゃ!」
にの江「馬鹿言うんじゃなぃよっ!あたしには亭主が…」
若様「そいつはもう死んだも同然じゃ!」
にの江「なっ…」
「……もう止めぬか、息子よ」
若様「Σ!!!!…ちっ父上っ!?」
潤之助「殿っ!」
奥の間の奥から声がして、殿がゆっくりとお出ましになった
若様「な、何で父上が……離れの母様の所でお休みではなかったのですか!?(汗)」
殿「潤之助より使いの者が参ってな…一部始終を聞かせてもらった」
言いながら腕組みをして皆を見回す殿
あたしは若様の腕を振り解くと雅吉に駆け寄り、並んで座らせ、頭を下げた
殿「智子、怪我はないか?」
お智「………はぃ、父上」
殿「そうか……愚かな兄上を赦してやってくれ」
若様「ち、父上っ!ぼくは…」
殿「先程のにの江の諌言、このワシも耳が痛かった」
殿はそう言うとどっしりと腰を下ろした