第1章 純情恋物語編
お智「えっ…?////」
お智ちゃんが、そりゃあ可愛く目を丸くして私を見た
翔吾「む、無理にとは言いません///」
お智「……良いんですか?///」
翔吾「へ?」
お智ちゃんは、遠慮がちに私の手を握り返して言った
お智「……そんなコトで、良いんですか?////」
翔吾「そんなコトって……逢って下さるんで?///」
お智「…………はぃ、喜んで/////」
翔吾「Σよっ……!!!////」
喜んでぇっ!!?////
お智「Σきゃあっ!大変っ!翔吾さん、お鼻から血がっ!!////」
翔吾「…………らぃじょぅぶれす/////」
私は手拭いで鼻を押さえると、にまっと笑った
お智「まぁ///……ふふっ……うふふっ///」
翔吾「えへっ……えへへっ///」
それから私たちは、手を握り合ったまま、無駄話に花を咲かせた
雅吉「……てな、感じらしぃぜぃ」
にの江「そうかぃ」
あたしは話しを聞き終わると、箸を置いて茶をすすった
雅吉「なんでぇい、にの江、そっけねぇなぁ!」
にの江「…そぅかぃ?」
雅吉「そぅだろぅよ!」
にの江「…そぅでもなぃさ」
あたしは澄ました顔で茶を飲み干した
(…一度、潤之助さんにキチンと話しておいた方が良いかねぇ)
なんでぇ案外冷てぇなぁなんてヒトのコトを揶揄する亭主を無視して、若い二人に想いを馳せる
(出来ることなら、一緒にしてやりたいもんだけど…)
でも、お智ちゃんにはそれがそうスンナリは行かない事情があった
(…家同士の確執やら、身分の違いなんて……恋する者同士には、なんの拘わりもないモンなのにねぇ…)
あたしは、お智ちゃんと翔吾さんに、過去の自分と潤之助さんを重ねた
(…若さと情熱だけじゃ、ままならないコトもある…………か)
遠い日の夏
恋する二人の別れ
お互い想いは一度も口に出せないまま
過ぎ去りし蜩の恋…
にの江「………」
ふと
蜩の煩いくらい鳴いていたあの夏の日
あの人の言った台詞が、脳裏に蘇った