第3章 養子騒動編
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にの江「おや、恋太郎ちゃん起きちまったのかぃ?」
あたしは、未だ雅吉に抱っこされたままだった恋太郎ちゃんを、自分の腕に抱き上げた
恋太郎ちゃんは、まだよく眼が覚めていないのか
可愛いお目めをシバシバさせながら、辺りをキョロキョロと見回した
恋太郎「…………ぁたま」
にの江「ん?」
恋太郎「………かぁたま///」
にの江「え…?」
恋太郎「かぁたま、なぃなぃ…なぃなぁい……かぁたまぁ……ふあぁあん////」
にの江「恋太郎ちゃん…!!///」
恋太郎ちゃんは、近くに母親が居ないのに気付くと、悲しそうに母親を呼びながら泣き出してしまった
その姿に、ギュッと胸が締め付けられる
にの江「あぁ、恋太郎ちゃん可哀想に…今、おっかさんのトコに連れて行ってあげるからねぇ」
恋太郎ちゃんをあやしながらあたしがそう言うと、雅吉が懐に手を突っ込んで、苦い顔をした
雅吉「そいつぁちょいとマズいんじゃねぇのか?」
にの江「なんでさ!」
雅吉「何でって、お前ぇ、女子供を連れて屋敷に忍び込むのは、いくらなんでも無理ってモンだろうょ」
にの江「そりゃあそうだろうけど…」
あたしは、くすんくすんと鼻をすする恋太郎ちゃんをギュッと抱き締めて言った
にの江「仮に、あんたと大倉さんの二人でお屋敷に忍び込んだとして
あんたらが留守の間にさっきの連中がまた此処に押し込んで来ないとも限らないだろぅ?
…情け無いけど、あたし1人であのお侍たちに太刀打ちするのは、無理だから…」
雅吉「…………」
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